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教職員のしごとと研修

2002年07月09日


全教副委員長 石川喩紀子

文部科学省が三月四日、「完全学校週五日制の実施に伴う公立学校の教職員の勤務時間の取り扱い等について」とする通知を出しました。「長期休業中の勤務時間の有効活用」と、あわせて研修の計画書や報告書の提出、内容の把握の徹底などを指示しています。これを契機に、各地で教育委員会が校長を通じて教職員の研修と勤務に関する細かな指示を出しています。

研修の本来の意義

教育基本法第六条は、「学校は、公の性質をもつもの」であり、「教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない」としています。この精神に基づき、教職員の研修は、教育活動の質を高める上で必要不可欠なものです。それは教育が創造的で豊かな営みであるからであり、したがって研修は教職員の要求に根ざしいきいきしたものでなければなりません。行政などが計画する研修も形式的なものであってはならず、なによりも大切なのは、教職員自身の自発性に基づく自主的研修が保障されることです。その内容は、「授業研究」「教材研究」はもちろんのこと、子どもたちとふれあい、かかわりあう上で大切な人間的な豊かさを身につけることも必要です。また、教職員集団として教育力量を高める上での民主的な資質なども要求されます。したがって教職員個人の研修だけでなく、学校全体として研修の機会が保障されるべきものです。

教育公務員特例法の規定(末尾参照)は、こうした視点に立つ運用が必要です。『新学校管理読本』(文部省地方課法令研究会編著、第一法規出版、一九九七年)の「第八 教職員の研修」でも、「他の地方公務員の研修は『勤務能率の発揮及び増進』という限られた目的を持つに過ぎないのに対 して、教育公務員の研修は 『その職責を遂行するために』として、職務遂行上不可欠なものとして位置づけられており、より広範な目的を有する」として、任命権者にもその保障のための対応を求めています。

研修を管理に利用することは不当

教育公務員特例法の第二〇条第二項は、自主研修の保障をうたったものであり、その際、本属長(=校長)の承認を必要とする定めであって、「報告書」を義務づけているわけではありません。校長の監督責任は自主研修の保障にあり、「報告書」の提出を義務づけたり、さらにはその内容にまで踏み込んで強制できる法的根拠はありません。また、行政が「校長の承認事項」の内容に介入し圧力をかけたり、組合教研や民間教育研究団体の主催する研究会などを悪意的に排除することも許されません。ましてや、教員評価のテコとして利用することは許されません。

ユネスコの「教員の地位に関する勧告」(一九六六年) は「教育職は専門職としての職務の遂行にあたって学問上の自由を享受すべきである」(第六一項)として、監督制度が「教員の自由、創造性、責任感をそこなうようなものであってはならない」(第六三項)と述べています。先の文部科学省の「通知」でも「教員の自主的・主体的研修を奨励・支援するよう努めること」としており、一方で研修に対する干渉や制約を強化することは矛盾であり、法的根拠もないといわなければなりません。

研修と休暇、その権利を堂々と

進学競争や新学習指導要領の問題点をそのままに、教職員配置や施設などの条件整備もなく完全学校週五日制が実施されました。平日の勤務がますます過密かつ長時間になり、「学校五日制で子どもも教師もヘトヘト」という、皮肉で深刻な事態がひろがっています。土日は平日に処理しきれなかった仕事や部活動で出勤し、あらたに補習まで事実上強制され、研修どころではありません。

こうした状況のもと、「普段の超過勤務を放置しておいて、夏休みまで出勤を強要し、研修はこと細かに管理するのか」というのが、教職員の率直な感情です。このような事態を解決することこそ、管理職や教育行政のさしせ まった責務です。

ゆとりのある教育活動と日常的な研修権の保障 − これを基本とし、長期休業中こそゆっくりと研修が保障されることを要求していく必要があります。

しかし、学校の長期休業は、教職員にとっては週休日を除き「休日」ではなく勤務日であることも事実です。「父母や住民からの指摘」を口実とした不当な介入をはねのけるためにも、研修権と休暇権をきちんと整理して要求し、父母にも明らかにしていく必要があります。

学校づくりの視点で

同時に、「父母、地域住民からの信頼を得るため」という視点からのみでなく、なによりも教職員一人ひとりの教育観や学校・教職員集団の姿勢の問題として、積極的に研修を位置づけすすめていくことが必要ではないでしょうか。そのことが、教職員の合意を無視した行政からの研修の強要に反対してたたかう力にもなります

すなわち、既得権の擁護、あるいは研修か休暇かという問題の立て方ではなく、学校づくりの視点でとりくむことです。よりよい教育活動をすすめるために、研修も休暇も教職員の重要な権利であり、ひいては子どもたちや父母の願いにこたえるものにほかなりません。なによりも、子どもや学校の様子、教職員の勤務の実態などを率直に訴え、教育に対する父母、住民の疑問や願いと教職員の要求を統一的にとらえ、理解と共感をひろげることが必要です。研修権問題を切り口のひとつとして、父母、地域との共同による学校づくりそのものが問われているといえるでしょう。

◆資料 教育公務員特例法

第19条 教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。 2 教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。

第20条 教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。
2 教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。
3 略

クレスコ7月号より、編集部の許可を得て転載


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