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【全教見解】研修権の侵害を許さず、父母・国民の負託にこたえ豊かな研修を

2002年07月10日


文部科学省は、3月4日付「完全学校週五日制の実施に伴う公立学校の教職員の勤務時間の取扱いについて」の「通知」に続き、7月4日付「夏季休業期間等における公立学校の教育職員の勤務管理について」の「通知」を発しました。

3月の「通知」は教特法第20条第2項の研修にもふれ、「事前の研修計画書による内容把握及び事後の研修報告書による確認の徹底を図る」などを基本にしたものでした。

今回の「通知」は、学校5日制による新たな事態を機会に教職員の自主的な研修の権利を抑圧することを企図したものですが、教育公務員特例法に定められた権利の基本を否定できない矛盾も反映したものとなっています。

以下、「通知」の具体的問題点を指摘します。

第一は、「教員に『権利』を付与するものではなく」と権利としての研修を否定していることです。

教員は、憲法・教育基本法にのっとり、子どもたちに主権者としての基礎的な学力を身につけさせ、子どもたちの持つ可能性を引き出し、「人格の完成」をめざす教育活動を行なう責務があります。そのために、教員の研修は教科の専門的知識、指導方法を深めるとともに、子どもたちの人格形成に影響を与える教育の特質から、幅広く自主的・自発的な研修によって、文化的・社会的教養を身につけることが求められています。

また、教員の研修は、よりよい教育活動を行なうために不可欠なものです。また、教育活動と一体のものであり、学問研究の自由が保障されなければならないし、そのためにも強制や命令で行われるのではなく、自主性・自発性が尊重されなければなりません。

一般公務員の研修が、「勤務能率の発揮および増進」のため、主に任命権者が計画・実施するのに対し、教員の研修は、子どもたちの成長・発達を保障し、国民の教育を受ける権利を保障するため、教育公務員特例法第19条によって「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」と定められているのです。

そのうえにたって、教特法20条は「研修を受ける機会が与えられなければならない」と、教員の権利として特別に法的保障を明記しています。それは、教特法制定時の提案理由説明で「権利としても研修をなし得るような機会を持たなければなりませんので、…これを法の根拠のもとに行うことができるようにいたしたのでございます。」(昭23・12・9 第4回国会衆院文部委員会)との政府委員(文部省辻田調査局長)の答弁が裏付けています。「通知」による「権利」否定は、文科省自らの国会答弁を覆すものです。

また、教特法第19条第2項は、「教員が自主的・自発的に行えるよう教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない」と研修の条件整備を任命権者に義務づけています。

第二の問題は、教特法第20条第2項にもとづく研修を「職専免研修」としていることです。

同法20条は「教育公務員には研修を受ける機会が与えられなければならない」というだけでなく、より積極的に、「研修を行えるよう」同法第2項で「教員は授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行なうことができる」と規定しており、この点は今回の通知でも認めているところです。

しかし、文部科学省はかねてから勤務場所を離れて行う自主研修について「職専免研修」とし、研修の承認を校長の「自由裁量」としてきており、このことを根拠に自主研修の権利が侵害され、裁判も含めたたたかいになっています。教特法第20条第2項にもとづく研修は本来「職専免研修」ではなく教員の職務の一部であり、校長の裁量の範囲は法律の文面どおり「授業の支障」の有無の判断に限定されるべきものです。また、校長が承認する際「校務」を理由にした制限は教特法に規定がないことを全教の文部科学省交渉(7月1日)でも確認しています。

第三は、研修の計画書やその後の報告書の提出を義務付けることです。

その法的根拠がないことを文部科学省は全教との交渉で認めています。したがって、その提出を義務付けないようにさせることと、「計画書や報告書の様式」は、行政による画一的な押し付けではなく学校の裁量にゆだねられるべきです。研修報告書の作成に多くの時間が割かれ、本来の研修の妨げになってはなりません。この点では、文科省も交渉で、「計画書や報告書にかわるものがあればよい」と回答しています。

今日、教育をめぐる深刻な事態のもとで、学力の保障をはじめとした子どもたちの人間形成をどのようにすすめるか、深い子ども理解と科学的で系統性のある教科教育、発達の筋道にたった自主活動など、子どもたちと学校の実態をふまえた教職員の力量形成があらためて求められています。そのためにも、自主的で自覚的な研究は欠かすことのできない課題です。とりわけ夏季休業中は、普段できない時間をかけた研修を旺盛にすすめる機会です。  今日の文部科学省の「教育改革」攻撃が、父母・国民の教育や学校への強い願いを逆手にとって、教職員と父母の間に分断を図ることを基本に管理統制政策を強めているとき、その攻撃の本質や特徴を正確にとらえた運動の発展が求められています。

全教第18回定期大会の研修問題の討論の中でも明らかにされたように、「研修」と「休暇」の区別を明確にし、教育条理と父母・国民の願いにこたえる自覚的なとりくみこそが、研修を権利として確立するうえでも重要です。

全教は、教職員への管理統制を許さず、教育基本法の第6条とその具体化である教特法の本来の趣旨にもとづく研修権の確立をめざして、文部科学省にその実現を求めるとともに、各構成組織が職場での旺盛な討論をすすめ、必要なとりくみをさらに前進させることをあらためてよびかけるものです。

全日本教職員組合中央執行委員会


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