今、小泉内閣は2006年度完全実施に向けて、「公務員制度改革」の作業を急ピッチで進めています。毎日新聞1月20日付けは、教員に関しては、その予定を1年前倒しして、「公立学校の教員を評価し、昇給や昇進に反映させる人事考課制度などを、05年度までに全国で完全導入する方針を固めた」と報じている。その地ならしとなる新勤評・人事考課制度が各地で進められようとしています。そのねらいと問題点を明らかにし導入を阻止するたたかいが今求められています。
教育基本法・国際条約に違反する成績主義・人事考課制度
「日本の教育は子ども達に自己工程間を育てることに失敗している」と、11月24日に開かれた「青年期教育と教育基本法を考える集い」で太田政男教授(大東文化大学)は子供と教育の現状を分析・告発しました。それは、競争の教育が子ども達の発達を阻害しているとして、日本政府にその是正を求めた国連子どもの権利委員会勧告と相通じるものです。
政府・文科省は、1950年代半ば以降、能力主義・国家主義の教育を、教職員を分断し、管理・統制することによって進めてきました。この教職員の分断、管理・統制を極限まで強化するために、文科省は、「指導不適切教員」攻撃とともに、成績主義・人事考課制度をトップダウン方式で導入しようとしています。これは、教育基本法の理念・原則に背き、ILOユネスコ「教員の地位に関する勧告」に反するものです。
「目標による管理」の問題点
第一に、「目標による管理」と称して、その目標を校長が決めるとしている問題です。公の性質を持つ学校(教育基本法第6条)は、教育権を有する父母・国民、教育の主体である子ども、そして教職員の三者によって構成されます。学校はその三者の声を題字にして目標がつくられ、運営されること、これが教育基本法の精神です。『教員の地位に関する勧告』は「教員団体は教育政策の決定に関与すべき」としています。教育政策や目標は行政と管理職が決め、教職員はそれに従えというに等しい政府・文科省の「目標による管理」はそれらの趣旨に明らかに反しています。
「業績評価」も問題点
第二に、校長が決めた目標にしたがって教職員に自己目標を立てさせ、その達成度で教職員を評価(「業績評価」)する問題です。
子どもの教育を前進させるための「学校評価」や「教職員評価」は、学校を構成する父母・生徒・教職員の三者が行うものです。その観点にたった、「学校評価」や「教職員評価」はどうあるべきかを明らかにしていくことが重要です。これに対して、文科省が導入しようとする管理職と行政(あるいは第三者機関)による「業績評価」は、教育基本法第10条が禁じている「教育への不当な介入」にあたります。客観的な基準などあり得ず、恣意的にならざるを得ない「評価」が教職員の仕事に影響を及ぼし、教育のあり方をも左右するのは火を見るよりも明らかです。
「処遇への反映」の問題点
第三に、「業績評価」によって給与に格差をつける問題です。「業績評価」は給与差別に利用されるだけでなく、研修や「指導不適切教員」攻撃にも利用されかねません。それは、教職員の身分尊重、待遇の適正を謳った教育基本法(第6条)や『教員の地位に関する勧告』(119項)に対する重大な違反行為というべきです。
この成績主義・人事考課制度を、文科省は「教職員の資質向上」のために導入するとしています。が、決してそうではなく、それは教職員への攻撃であると同時に、教育そのものへの攻撃であることをはっきりさせることが大切です。
開かれた学校づくりで力量アップ
子どもと教育の困難な状況を打開するために今求められているのは、学校をことも達にひらくこと、父母にひらき、地域にひらく、そして教職員にも学校をひらき、教育基本法が生かされる教育を目指すことです。この「ひらかれた参加と共同の学校づくり」を父母・住民とともにすすめ、同時に、教職員一人ひとりの力量とともに学校全体の力量を高めていく。そのためにも、成績主義・人事考課制度の導入に反対し、学校の民主主義と教職員の自主的権限を擁護してたたかうことが重要です。
日高教新聞2002年12月10日付の記事に、最新の情勢を一部加筆
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