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立場や所属組合の違いを越えて、教育基本法の「改正」問題に関して教育関係者が声明

2002年01月10日


教育基本法の「改正」問題に関する教育関係者の声明

戦後日本の教育の基本的在り方を宣宮している教育基本法が、いま「改正」の危機に直面しています。小渕恵三・元首相、森喜朗・前首相は、その政権の浮揚策として教育改革を掲げ、そのなかで教育基本法の「改正」にたびたび言及してきました。そればかりか、首相の私的諮問機関として設置された教育改革国民会議は、内部に異論があったにもかかわらず、その「報告」(2000年12月22日)において、「政府においても本報告の趣旨を十分に尊重して、教育基本法の見直しに取り組むことが必要である。」と、政府に対し教育基本法の「改正」をせまりました。

この教育改革国民会議の「報告」を受けて、小泉純一郎内閣は、中央教育審議会に教育基本法の「改正」について諮問するとし、遠山敦子文部科学大臣は、11月26日、同審議会に「教育振興基本計画の策定」とともに「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について」諮問を行いました。その諮問理由をみると、新たな教育基本法をつくることを意図しているとしか考えられません。

このように教育基本法は、いま1947年の制定以来、最大の危機に直面しています。私たちは、長年、教育基本法の精神を貴重なものとし、日本の教育の在り方について考え、積極的に発音してきた者として、こうした事態を審過することはできません。

いうまでもなく教育基本法は、戦前日本の軍国主義的・超国家主義的な教育のかなめであった教育勅語を否定し、戦後の日本国憲法の精紳に立ち、その理念を普及する教育の根本理念を示した文字通りの基本法です。また子どもの権利条約の精神とも一致するものです。

教育基本法は日本国憲法と一体をなすものですが、国会に強引に設置された憲法調査会を小泉内閣は積極的に活動させて、日本国憲法「改正」の準備を着々と進めています。こうした動向の一環として、まず、日本国憲法の精神に基づく教育基本法の「改正」をめざしている、とみざるをえません。

今日の日本の教育が、きわめて激しい受験競争の様相を呈しているだけでなく、いじめ・不登校・体罰等々、ただちにその解決に向けて取り組むべき課題を多く抱えていることは、心の痛む事実です。また教師たちが超多忙の中で、子どもたちと心を交流させるゆとりさえ奪われていることも、大きな問題です。このような教育現実は、その根本をたどれば、現代社会における人間性の崩嬢や歴代保守政権による貧困な社会政策・教育政策にその要因を求めることができます。

今日の教育問題の多くは、長期にわたり教育基本法の理念を真撃に実現しようとしてこなかった教育政策にこそ責任があり、教育基本法を「改正」すれば、今日の教育問題が解決する、ということではありません。

むしろ、今日の教育問題を積極的に解決していくため、いまこそ人間の尊厳と平和の実現をめざす教育基本法の理念を、積極的に生かしていかなければなりません。

わたしたちは、教育外的な思惑から教育基本法を「改正」しようとしている今日の政治的状況を憂慮し、教育基本法の理念を積極的に生かしていくことこそが、21世紀の日本の教育に求められていることを、ここにひろく皆さんに訴えるものです。

2001年12月6日 呼びかけ人(50音順)
 大田 堯(東京大学名誉教授)
 館 博通(元日本高等学校教職員組合委員長)
 嘩峻淑子〈埼玉大学名誉教授)
 永井憲一(法政大学教授)
 中小路清雄(元日本教職員組合書記長)
 浪本勝年(立正大学教授)
 槙枝元文(元日本教職員組合委員長)
 山住正己(前東京都立大学総長)


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