夏期休業中に20日にも及ぶ校外研修を強要する10年研修、そして、英語研修や15年研修の日数延長など矢継ぎ早に新たな官製研修が企画・強行されています。これらの官製研修がどのような背景と狙いをもって実施されようとしているのかをみていきたいと思います。
新たな官製研修が企画・強行される背景と狙い
新たな官製研修が次々と出されている背景には、文科省が進める教育改革、小泉構造改革の下での公務員制度改悪、そして、財界がめざす国際競争力強化政策などがあります。これらが複雑に絡み合いながら一連の官製研修が企画・強行されているのです。
では、新たな官製研修の狙いはどこにあるのでしょうか。第一の狙いが、文科省が推進する諸政策の教員への周知徹底にあることはいうまでもありません。第二の狙いは、研修を通して教員評価を行い、その結果に基づきその後の昇給や昇格に反映させる、場合によっては「不適格教員」として免職するというものです。これは、国民に奉仕する公務員から国家に奉仕するそれへと公務員制度を改悪する動きと深く関わっています。第三の狙いは、財界の産業力強化政策の一環としての位置づけです。例えば、TOEFLテスト付きの10日間の英語研修は、財界の「国際競争力強化には日本人の英語能力を高める必要がある」との要請を受け、総合規制改革会議が文科省に「何か方針を出せ」と強く迫り実施させたものです。教員の企業研修もよく言われるように「接遇が悪い」「教員は世間知らず」だから実施しているわけではありません。企業がそんなことに手間暇と金をかけるわけがありません。財界の諸提言には、企業の論理を教員に徹底させ、教員に企業の要求をふまえ日常の教育活動を行わせるため実施するとの方針が明記されています。
以上のように、現在、企画・強行されている官製研修は、従来とは違った新たな背景と狙いを持った「大仕掛け」な攻撃であることをしっかりと見ておく必要があります。
徹底した自主研修の敵視
新たな官製研修の拡大・強化にとっての最大の障害物は教員の自主的な研修です。なぜなら、文科省にとって必要な研修とは、彼らが示した方針を効率よく遂行するための職務遂行能力向上のためであって、教育基本法や教特法が求める教員としての「使命を自覚し職責の遂行」に努めるためのものではないからです。そのため文科省は、教員の自主的な研修を敵視し、「長期休業中は、自主的な研修ができないよう教育委員会や校長は連日校内外での研修会等を企画し教員を参加させよ」とまで指導しているのです。兵庫でも一部の小中学校長が長期休業中の自主研修を認めず出勤を命じているのはこのためです。
10年研修における異常なまでの校外研修の多さの背景にはこのような文科省の姿勢があります。そして、彼らは、10年研修などを突破口に、次に全教職員参加の長期休業中の強制研修体制の確立をめざしていることに注意する必要があります。
10年研修の最大の狙いは教員評価
- A…10年を経過した教諭に求められる程度以上に優れている。
- B…10年を経過した教諭に求められる一般的な程度を十分満たしている。
- C…10年を経過した教諭に求められる最低限の程度を満たしている。
- D…10年を経過した教諭に求められる最低限の程度を満たしていない。
上記「評価調書」は、文科省の指導の通り10年研修を実施しようとしている教育委員会が作成したものです。この「評価調書」を見れば10年研修の狙いは一目瞭然だといえます。もしこの「評価調書」で本人、校長ともにD評価をつけそのまま黙っていればその教員は退職に追い込まれるでしょう。本人C、校長Dの評価であれば、10年研の「成果」次第では免職もあり得るでしょう。このようにして官製研修を通して教員を評価し管理統制するのです。教育委員会は、忠誠を尽くす教職員には昇給、昇格で報い、逆は冷遇するという違法な差別人事・処遇を研修の名の下に公然と行えるようになるのです。
高教組の取り組みによって兵庫県では、このような教員評価は導入させませんでした。しかし、10年研修がこの狙いを持って導入されたことを忘れてはなりません。
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