教育「改革」関連法案の狙いとその背景(1)
文部科学省は、教育改革国民会議最終報告{17の提案」を受け、その具体化のために「21世紀教育新生プラン」を作成、発表しました(1月22日)。そして、第151通常国会に「教育改革」関連法案を提出する一方、教育基本法の全面見直しを中教審に諮問しました。憲法改悪と連動する形で、教育基本法に基づく戦後民主教育を否定する全面的な攻撃が開始されたといえます。
教育「改革」関連6法案とは
第151通常国会に提出されている教育「改革」関連6法案とは、
- 30人学級の実施を見送る高校第6次(義務制第7次)定数改善計画法案(既に成立)
- 社会奉仕体験活動強制法案
- 「不適格」認定教員の配置転換・免職法案
- 「問題を起こす子ども」排除法案
- 高校通学区規制撤廃法案
- 大学及び大学院への「飛び入学」推進法案
の6法案です。
以下、既に成立した高校第6次定数改善計画法を除く5つの法案についてどのような問題点があるのかを見ていきます。
社会奉仕体験活動を強制する法案
「社会教育団体その他の関係団体及び関係機関との連携をはかりながら、児童の体験的な学習活動、特に社会奉仕体験活動、自然体験活動、その他の体験活動の充実を図る」として、学校教育法18条の2を新設するものです。
社会奉仕体験活動の実施については、国民の反対で法的強制はできなかったものの「日の丸・君が代」同様、徹底した各校への実施の強要が予想されます。町村文科大臣が自衛隊への体験入隊の有効性を述べ、また、一部先取り実施している学校においても「自衛隊での体験学習」が取り入れられていることなどから判断し、「平和で民主的な社会の形成者」を育てる教育とは全く相容れない時代錯誤の法案といえます。
「不適格」認定教員の配置転換・免職法案
都道府県教委が、
- 児童または生徒に対する指導が不適切
- 研修等必要な措置が講じられても効果が認められない
との2要件を満たした場合には、本人の同意抜きに免職し、引き続いて該当都道府県の常時勤務を要する職に転種転換(転種転換が認められなかった教員はその時点で免職)することができるよう「地方行政の組織及び運営に関する法律」(以下「地教行法」)を「改正」する法案を提出しました。
現在、地方公務員は、
- 勤務成績が良くない
- 心身の故障のため職務を遂行できない
- その職に必要な的確性を欠く
- 行政上の必要から過員が生じると
いう4つの事由以外で降任・免職・休職・降給されることはありません(地公法27条の2)。
また、「その職に必要な的確性を欠く」との判断も「特に厳密、慎重であること」が要求されています(しかし、現在の地公法も、私たちの取り組みがなければ乱用されかねません)。このような地公法の規定があるにもかかわらず、敢えて地教行法を「改正」する目的は、校長や県教委の恣意的な判断で自由に教員の「首切り」ができる制度を作ることで、教職員への管理と統制を一段と強化し、一連の教育「改革」を推進することにあるといえます。
「問題を起こす子ども」を排除する法案
学校教育法第28条は、「性行不良であって他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる」と定めています。今回の「改正」は、性行不良の内容を
- 他の児童に傷害、心身の苦痛または財産上の損失を与える行為
- 職員に傷害または心身の苦痛を与える行為
- 施設又は設備を損壊する行為
- 授業その他の教育活動の実施を妨げる行為
と具体的に明示し、出席停止措置の実施を各学校にうながす内容となっています。
もちろん上記のような行為は許されず、厳しく対応することは当然です。しかし、これらの問題行動への対応は、現行学校教育法でも十分可能です。問題は、このような困難をかかえた学校の取り組みを支援するための教職員増も含めた条件整備を行っているかどうかです。現行法に基づき「出席停止措置」を取っているほとんどの学校では、「停止期間」中の対応ができず、結果として子どもたちが「放置」されているのが現状です。今回の「改正」は、「問題を起こす子ども」を学校教育から排除し、事実上放置することを容認するものです。今後、高校教育にも影響を与えることは必至といえます。
高校通学区規制撤廃、大学及び大学院への「飛び入学」推進法案
地教行法第50条は、「高等学校教育の普及及びその機会均等をはかるため…通学区を定める」としています。この規定は、「受験競争の激化の防止と通学上の負担軽減」を目的としたものです。今回の「改訂」は、この規定を撤廃し学区拡大を推進するのが狙いです。すべての分野で17歳飛び入学を可能にする学校教育法一部改正とあわせ、「規制緩和」「個性重視」の名の下に競争の教育を一段と強化するのが狙いです。
高教組通信 No.1 2001年4月12日付 より
|