昨年末から今年にかけて、世界中に大きな波がうねりました。「アメリカによるイラク攻撃反対」「イラクの子どもたちを殺すな」の声が地球を何周もしました。歴史上かつてないことが始まったのです。
その声に耳を傾けることなく、米・英は三月二十日、イラク攻撃を開始し、圧倒的に優位な軍事力によってイラクの政権を崩壊させました。戦争開始の口実としていた「大量破壊兵器」などまったく発見されず、この戦争に道理のないことは明白です。白血病や癌患者の急増が予想される劣化ウラン弾やいまも罪のない子どもたちを殺傷し続けているクラスター爆弾の使用など、その非人道性がいっそう明らかになりつつあります。
世界に広がった反戦の声は戦争を止めることまではできませんでした。しかし、フランス、ドイツなどを最後まで戦争反対の立場に立たせ、国連安保理に積極的にアメリカの行動を牽制する立場を、冷戦終結後初めてとらせました。いわば「唯一の超大国」として世界を支配しようとするアメリカと世界の平和を求める声とが「がっぷりと四つに組む」時代が始まったのです。アメリカの軍事介入はアフガニスタンでも全く成功していません。イラクにおいても新しい国民本位の秩序が生まれるという予測はどこにもありません。むしろ世界各地でテロが広がる様相を示しています。
私たちは、今一度「戦争が違法である」という二十世紀の歴史が築き上げてきた到達点をしっかりとふまえ、平和を求める世論をひとつひとつ積み上げていこうではありませんか。そのためにも、アメリカの戦争に日本を加担させ、国民の基本的人権を踏みにじる「百害あって一理なし」の有事関連三法案の成立を許さないとりくみを急速に強めていきましょう。そして小泉自公保内閣が進めるアメリカ一辺倒の姿勢の転換を求めていきましょう。
イラク戦争が開始されたちょうどその日、中教審は教育基本法の見直しを求める最終答申を行いました。日本国憲法とともに歩み、国民の間に定着しようとしている教育基本法に対する野蛮な攻撃をさらに一歩すすめたのです。平和的な国家と社会を希求することを投げ出し、大競争時代にうち勝つ人材の育成などという言葉によって子どもたちを国家目標に奉仕させようとしています。世界に覇権を唱えようとするアメリカに追随することのみが日本の生きるべき道であるかのように二十一世紀を描き、子どもたちの人間としての成長を保障しようとすることにはいっさい無頓着です。
戦後五十八年間、私たちはすべての子どもたちがその人格を完成させることを目的とした教育を実現させるために、一歩ずつではあっても努力を積み重ねてきました。六十人学級が五十人、四十五人、四十人と改善され、三十人学級へもう一歩のところまできています。どんな障害のある子どもたちにも教育を保障するための努力も続いています。戦前二十五%だった中等学校への進学率も、高校進学率が九十%を超えるところまで到達しました。父母、生徒の学校参加が真剣に論議され始めています。教育現場には様々な困難がありますが、教育基本法に基づいた教育に真剣に取り組むことによって解決の方向は示されていきます。私たちはそのことに確信を持ち、すべての教職員・父母・国民そして子どもたちと語り合い、教育基本法の改悪を許さない運動を進めていきましょう。
2003年5月24日
兵庫県高等学校教職員組合第87回定期大会
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