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「特色化」ではなく、地域に根ざした高校づくりを/「特色化」、後期計画批判第1弾

2003年06月25 日


県教委による高校教育改革第1次実施計画の前期計画は昨年度終了しています。一昨年度にも発表が予定されていた「後期計画」については、15〜20校の高校統廃合を含めた県民無視の計画であり、私たちを含めた県民の大きな批判のなかでこれまで発表できずにいます。今年度中にも発表されるといわれていますが、「すべての子どもにゆきとどいた教育を」との県民的な合意を大切にしたものではないため、大きな矛盾に直面しなければならないでしょう。

前期計画は何をもたらしたか

前期計画の実施は兵庫の高校教育にどのような影響を及ぼしたでしょうか。

教育の機会均等を破壊する定時制高校の統廃合

高校統廃合は定時制高校から始まりました。神戸・阪神間で4校、姫路で3校の定時制高校を募集停止とし、それぞれ1校の3部制高校を既存の高校の改編によって設立しました。しかし、長期不況のなか、地元の公立高校への希望が増加し、定時制を志願する生徒も増大するなかで、残された多くの学校で入学生が増加しています。定時制高校は中学時に不登校など様々な課題を抱えた生徒一人一人にたいしきめの細かい指導が可能となっていたところがありましたが、生徒増によりそれが困難となったり、地元の定時制高校が募集停止となったためやむをえず遠距離通学を余儀なくされ、結局は高校生活が続けられなくなる生徒もでてきています。三部制高校がそれに代わるだけの役割を果たせていないのが現状であり、結局は多くの青年から高校教育の機会が奪われる結果となっています。 

限りない教職員の多忙化をもたらしている総合学科・選択制

総合学科高校が生徒・地域にとってどのような学校であるのかについては、なお一層の検討が必要です。しかし、当初県教委が宣伝した「学びたいことが学べる学校」になっているかどうかについていえば、私たちが最近行ったアンケートによれば約25%の生徒しかその趣旨が生かされていないと教職員は感じています。それも教職員の多大な自己犠牲の上に成り立っているのが実態です。同調査でも80%以上の教職員が忙しくなったと感じています。総合学科においては、多くの選択科目がその特徴となっています。しかし、教職員については普通科と比べてもわずかしか定数増が認められていません。教員一人あたりについていえば、その持ち科目の種類が5〜6種類は当たり前、選択講座の関係で1日に5時間、場合によっては6時間の授業担当もありうる、といった実態があります。毎日、多くの教職員が8時、9時まで学校に残ってやっと支えられているのが実態で、結局は、一つ一つの授業にたいする教材研究に時間をかけることができなくなっており、長期的にみれば授業そのものの質を低下させる結果とならざるを得ません。

多くの普通科高校においても「特色化」を名目としてさまざまな「類型」や「選択科目」を設けようとする動きが進んでいます。生徒が希望する科目について選択科目を設け、ある程度自由な選択にゆだねることを一概に否定するものではありませんが、そのための条件整備が全くされないままに、選択科目を増やしても授業の質を落とすだけの結果になりかねません。また、高校教育における基礎・基本は何かという議論をぬきにして設置した選択科目にどれだけの意味があるのか十分な検討が必要です。

後期計画の一方的な押しつけをやめ、教職員と地域との合意をふまえた高校づくりを

「特色化」路線はすでに破綻

後期計画について私たちは、それを白紙に戻し、県民的な議論のなかで見直していくことを求めてきましたが、県教委は一方的に「後期計画推進委員会」を設置し、3回議論をしています。現在そのうち2回分の議事録が明らかとなっていますが、それをみても「15歳の子どもの立場で考えると、高等学校入学の時点で学校や学科をどう選択するのかと言うことについては大変難しいのではないだろうか」「子どもが多様化しているといいながら、将来に生かされるように、基礎的な教育はきちっと保障すべきだと思う」といった県教委が進めてきた高校の多様化、特色化を否定する発言が多くだされてきています。県教委が主導して人選した委員会ですら、そうした意見が出ているのですから、県教委は、現在の多様化、「特色化」の方針を根本的に見直すべきです。

地域で広がる高校統廃合反対の声

その一方で、高校統廃合が心配されている地域では「地元の高校の存続」を求める運動がねばり強く取り組まれています。今年度も氷上郡においては地元の3校を地域の学校として存続することをを求める署名がPTAが中心となってすでに5000筆以上集められています。

地域の子どもたちが地元の高校で学び、地域社会の一員として育てていくための条件を住民の力で守っていこうという21世紀の地域社会の在り方が模索されているといえるでしょう。

「特色化」のおしつけではなく、地域に根ざした高校づくりを 

現在、神戸第3学区の一部の学校で、「特色化」を進め、「特色入試」を実施したいとの意向が校長より伝えられたり、他の地域でも学校「生き残り」のために総合学科への移行を検討するなどの動きがあります。

従来の終身雇用型社会が崩され、「いい大学」「いい企業」に入れば将来が安定するなどといったことがいえなくなっている事実があります。就職、進学を問わず受験勉強や「しつけ」を中心とした教育内容はもはや高校は生徒たちにとって何の魅力もないものとなってきています。それだけに、地域の子どもたちがどのような高校教育を必要としているのかを議論することが今すべての学校で必要です。「特色化」や「総合学科」のおしつけを行うべきではありません。

県教委は、複数志願制の拡大や後期計画の一方的な発表は行わず、高校教育はいかにあるべきかについて、県民的な議論を進めることに力を注ぐべきです。

高教組通信No.7 2003年6月23日付より


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