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【高教組通信No.2】指導力向上を要する教員」にたいするフォローアップシステム
高教組、恣意的な運用に歯止め(4/19)

2004年04月20日


 県教委はこの4月、「指導力向上を要する教員にかかるフォローアップシステムの構築を目指して」とする「手引」を発表しました。

 この制度は、「指導力向上を要する」と思われる教員を校長が県教委に報告し、判定委員会の判断により、1年間研修所での研修を行い、そのうえで現場への復帰か、1年間の研修延長、または職種変更を行うというものです。

文科省の狙いは教職員の分断、もの言えぬ学校づくり

 文科省は2001年、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)を改悪し、「指導が不適切」な教員を他の職種に転職させたり、免職にすることができるようにしました。すでに他県では校長の独断で教員を一方的に学校から排除し、退職に追いやることも起きています。ある県では、県教委が校長に対して決められた莫大な予算枠に見合う人数の教員を対象者として無理やりあげさせるということまで行われています。 こんなことがまかり通れば、教職員集団が協力・共同して生徒たちにしっかり顔を向けた教育活動がこわされ、校長や県教委の顔色のみを気にするという雰囲気が学校につくられてしまいます。このような制度は私たちは絶対に認めることはできません。

「排除ではなく、支援が基本」、県教委が言明

 高教組は、教職員の共同した営みを破壊するシステムであるこの制度の導入に反対してきました。

 同時に、地教行法が改悪され、文科省が全国の都道府県教委にたいし、この法に基づいた制度確立を強制しているなかで、兵庫における制度が校長や市町教委による恣意的な運用がなされてはならないこと、すべての教職員が教育力量を高めていくための条件整備こそが基本であるとの立場で、県教委に対して要求し、昨年末から協議を進めてきました。

 そのなかで県教委は、基本的な姿勢として、「排除ではなく、支援が基本」であることを言明してきました。私たちは、制度の運用にあたって、その姿勢を具体的に貫くことを求めてきました。その結果、4月19日、県教委は次のような立場で運用にあたるとの回答をしめしました(県教委の回答の全体は裏面)。

校長による恣意的な運用は許されていない

 「指導力向上を要する教員」としての認定は、校長の報告にもとづき、県教委が設置する第三者機関としての判定委員会の判断によります。校長が県教委に書類を提出するまでには、以下の手順が必要というのが県教委の見解です。


(1) 手引にある「50項目の観点」は日常的に全教職員を
  チェックするために使うものではない
 前提として、フォローアップシステムの手引き書にある、「指導力向上を要する」かどうかを判断するための「50項目の観点」は、 全教職員をチェックするためのものではないということです。この観点は、問題事例がある場合に、どういう問題なのかを整理するために使用されるものです。 したがって、この観点を表のようにして全教職員をチェックするなどということを校長が行うことは、この制度からの逸脱行為です。


(2) 校長の恣意的な判断は許されない
 「対象教員」に該当する可能性があるかどうかは、まず生徒・保護者・教員等からの具体的な問題点の指摘とその事実の確認がなければなりません。 校長による印象などのみで該当者にしようとするなど論外です。


(3) 報告書提出前の校内での支援体制・手だてが不可欠
 問題が客観的に明らかになった場合には、まず、本人が問題点を克服するための校内における研修等の機会の保障と支援の具体策を講じることが校長の責務です。 そして、校長だけでなく他の教職員も含めて学校全体としての支援体制を確立することが必要です。


(4) 報告書提出の際にも本人へのていねいな対応が必要
 報告の提出にあたっては、本人の申立書が必要です。どうしても本人が記述を拒否した場合には、その旨を記して提出しますが、当然のことながら本人にたいしてはそれ以前からどんな点で指導力向上を要するかの理解を求め、やむなく報告を提出する際には、本人が申立書を記述できるよう、校長として努力しなければなりません。


(5) 「心の病」を抱える教員への対応はこのシステムとは別
 「心の病」を抱えている可能性のある教員に対しては、メンタルヘルス面での支援を行うことがまず必要であり、その場合は「指導力向上を要する」教員の対象者ではありません。


 

生徒・父母共同の学校づくりを、
      教育力量を高めることができる職場づくりを

 30人学級も実現せず、多忙化が進むなど、学校現場の教育条件は劣悪です。生徒・父母・地域の学校に対する期待は、時には教職員や学校に対する批判となってあらわれてきます。 私たち教職員も生徒・父母・地域の教育要求にこたえるため、たえず教育力量を高めていくことが必要です。日常の教育活動が自由な雰囲気のなかで交流でき、自主的な研修の機会が十分に保障されることと、生徒・父母の要求に根ざした学校づくりを進めるため、その率直な声を聞くことができるようにしていくことが必要です。そのなかで教員全体の教育力量も向上していきます。

 私たちは地域に根ざした学校づくりを進めていくとともに、県教委に対し、教育条件の整備と自由な研修の機会の保障を求めていくものです。

不安があれば高教組に相談を

 校長による恣意的な運用や、この問題を利用した脅しや圧力を感じたときには、遠慮なく高教組各分会や支部・本部にご相談ください。

 兵庫教組と高教組に対する「フォローアップシステム」の具体的な運用についての県教委の回答(4月19日)は以下の通りです。


  1.  校長が「対象教員についての報告」を行うまでには、少なくとも以下の手続きが必要である。


    1.  校長は、「指導力向上を要する教員」に該当すると思われる教員にたいし、排除するのではなく支援」の原則で校内的に最大限努力する。


      1.  生徒、保護者、教員等から指導における問題点についての申し出があり、その事実が確認された教員にたいし、校長は、本人に理解を求める努力を行い、その問題点の克服のため適切な支援策を講じる。その際、プライバシー等が侵されることがないよう十分配慮する。


      2.  支援すべき事実が確認された当該教員は、この段階では「指導力向上を要する教員」該当者として扱わない。


      3.  さまざまな支援策を講じても改善が見られず、同様の問題がくり返される場合には、校長は地教委・県教委と相談する。その際、校長は、個人的判断ではなく、支援にかかわった教職員の意見を十分に聞く。


      4.  上記 i 〜iii の手続きをふまえ、地教委・県教委との協議を経て、「指導力向上を要する教員」に該当すると思われる教員として報告を行うが、引き続き必要な支援策は継続して行う。その際、本人が前向きに研修を受けることができるよう努力する。


    2.  「心の病を抱える教員」であるか「指導力向上を要する教員」かの判断が困難な場合の対応における本人に対する指導・支援を行うにあたっては、まず懇話会報告の精神、パワーアッププランにしめされたメンタルヘルス体制による努力を前提とする。



  2.  校長が「対象教員に関する報告書」を提出する場合は、上記の手順をふまえ、I−1ーi についてどのような事実があるのか、I−1ーii について、校長としてどのような支援を行い、研修の機会を保障したのかについての記入が必要である。



  3.  校長・市町等教育委員会に対し、次の点を指導する。


    1.  管理職はリーダーシップを発揮し、教職員一人一人の意欲を高め、いきいきとした職場環境を整備する必要があること。


    2.  困難を抱えた教員については、職場における支援が基本であること。


    3.  日常的な全教職員にたいする「手引き」に基づく記録の作成は行わないこと。


    4.  「指導力向上を要する教員」に該当すると思われる教員と判断し、報告書等を提出する場合は、本人にその旨を伝えること。


    5.  この「システム」の恣意的な利用や客観性・公平性のない活用は行わないこと。

 《注》 懇話会報告: 2002年1月の教職員の資質向上に関する懇話会の報告、
        「排除ではなく教職員の支援策の充実」を提言
     パワーアッププラン: 2002年5月県教委が懇話会報告を受けて発表した
        「美しい兵庫の教育を担うパワーアッププラン」

高教組通信No.2 2004/4/20付け


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