Homeニュース一覧ニュース

同時多発テロ:武力報復ではなく国際法による解決を

2001年9月21日


テロ反対・テロ根絶の国際世論の力で
武力報復ではなく国際法による解決を

− 報復支援の自衛隊派兵は憲法に違反する −

米国で起こった同時多発テロ事件(9月11日)は、いかなる政治的見解や宗教的な信条によっても絶対に正当化できるものではありません。また、今回のテロ事件を契機に形成された「テロ反対・テロ根絶」の国際世論は、テロを根絶し人類が21世紀に平和のうちに生存していくための条件をつくり出すうえで大きな力を発揮するものです。私たちは、この流れをいっそう大きく力強くするために奮闘する決意です。

軍事力による報復は、武力報復の悪循環を生み出す

テロ事件に対して米国を中心に軍事力による報復を行おうとする動きが強まっています。しかし、軍事報復は国際法で禁じられており、テロに有効でないばかりかさらなるテロ行為と武力報復の悪循環を生み出す最悪の行為です。このことは過去のテロへの対応の経験からも明らかです。国連憲章や国際法に基づきテロ犯罪の容疑者、そして、犯罪行為を組織・支援した者を逮捕し裁判もとづく厳正な処分によって解決するという国際的ルールは過去のテロに対する様々な経験をふまえ人類が到達した結論です。

「テロ反対・テロ根絶」を願う国際世論の力こそが人類が21世紀に平和に生きていくための条件をつり出す上で最も確かな保障となるものです。「テロ反対・テロ根絶」、そして、「軍事力による報復ではなく国際法に基づく解決を」の世論を大きく広めていくための取り組みを職場の内外で進めていきましょう。

小泉内閣による武力報復支援のための自衛隊派兵は絶対に容認できない

小泉内閣は、今回のテロ事件に対して軍事的な対応方針しか持ち合わせていません。このような対応をしている国は日本とイギリスだけです。しかも、小泉首相は米国による武力報復に自衛隊を参戦させることが憲法前文にいう「国際社会において、名誉ある地位を占める」行為だと記者会見で述べました。この発言は、さしあたり国民の目をごまかせばそれでよしとする小泉首相特有の発言ながら、首相としてこのような憲法解釈を行うことは絶対に容認できません。首相の資格そのものが問われる発言です。

では、小泉内閣は、「テロ対策」と称して何を行おうとしているのでしょうか。具体的には、米国の軍事報復を支援するための自衛隊による後方支援及び情報提供、そして、在日米軍警備などです。しかし、「輸送、補給等の支援活動」は、国際法上は戦争行為と一体とされる兵站=後方支援そのものです。政府自身も周辺事態法の審議において「武力行使と一体になる」からこのような後方支援は憲法上できないと認めたものです。

戦闘中の情報提供も参戦行為であることは疑いの余地がありません。さらに「周辺事態」の「周辺」をテロを口実にを全世界に広げようとしてるのです。周辺事態法そのものが憲法に違反しているとの指摘がある法律です。しかし、今回の武力報復支援のための自衛隊の派兵はその周辺事態法でさえも認められない戦争行為そのものであり、憲法に違反することはあまりにも明らかです。

小泉内閣による武力報復支援のための憲法に違反する自衛隊派兵を認めない取り組みを職場内外から急速に広めることも大変重要です。

参考:アルカイダ、そして、ウサマ・ビンラディンとは

ウサマ・ビンラディンが指導的地位にあり今回のテロ事件にかかわったのではないかとの指摘のあるアルカイダはアルジェリア、エジプト、シリア、ビルマ、ボスニアなど40を越える国や地域に広がる組織で構成員は三千から五千といわれています。アルカイダは、ソ連のアフガニスタン侵攻後、米国やサウジアラビアなどによって養成され、ソ連撤退後はウサマ・ビンラディンが司令官となりました。

ウサマ・ビンラディンは、1957年サウジアラビア生まれ。彼は、ソ連と戦う数千のアラブ人やイスラム教徒の青年を兵士に組織しました。また、アフガン聖戦を実行するために米国をはじめとする西側諸国から数億ドルの資金を集めるルートを作ったとされています。ソ連がアフガニスタンから撤退するとイスラム世界を統一するグループの組織化を計画し、サウジアラビアに戻り、南イエメンでジハード集団の創設に協力しました。1990年のイラクによるクエート侵攻後、米軍の駐留を認め続けるサウジアラビア王室に対する批判キャンペーンを行ったため1992年サウジアラビアを追放されました。

 ウサマ・ビンラディンは、サウジアラビアを不誠実なイスラム教国であるとして「真のイスラム教国家」の建設を主張したのですが、追放後は組織をパキスタンからスーダンに、そして、現在のアフガニスタンに移しました。彼は、

  1. イスラム思想やその利益を害しているイスラム政権(エジプト、サウジアラビアなど)と闘
  2. その国のイスラム教徒を抑圧する政権(コソボ、インド、インドネシアなど)と闘う
  3. イスラム国家を建設する上でイスラム教の直接の脅威と考える米国及び支援する国、組織と闘う

としています。

以上のように米国が武力報復しようとしているアルカイダはそもそも米国のCIAが作り、しかも、ウサマ・ビンラディンはその優等生だった人物です。テロ事件の背景には、米国の謀略組織の存在や南北問題、宗教問題など複雑な問題が横たわっており、「自由に対する挑戦」などと片づけられない側面を持っているのです。

高教組通信 No.9 2001年9月21日付


パスワード