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【高教組通信No.13】◆教育基本法「改正」にかかわる
  与党「中間報告」の危険な内容

2004年09月24日


 9月15日、自民・公明両党の「与党教育基本法関する検討会」(座長・保利耕輔元文相)は、 参議院選挙前の6月16日に発表した「教育基本法に盛り込むべき項目と内容について(中間報告)」のうち、 「愛国心」や「宗教教育」などを除く合意部分について、 文部科学省が具体的な法案作成作業にはいることを了承しました。 いよいよ教育基本法改悪にむけての作業が本格的に開始されることとなります。

 「中間報告」の内容は、教育基本法の基本理念を真っ向から否定し、 子ども、父母、教職員、地域住民が共同で教育をつくりあげていくのではなく、 国家が「上から」教育内容を押しつけていくための法律にしようとするものであることが明らかになっています。


憲法にふれず、平和をないがしろにした教育の目的

 「報告」において特徴的なことは、前文において憲法との関連がいっさい明らかにされていないことです。 教育基本法は日本国憲法の平和的民主的条項の達成と個人の尊厳を明らかにしていますが、 そのことにはいっさいふれていません。 そして「憲法の精神に則り」の扱いについては今後の検討課題としています。 憲法の理念をふまえない教育基本法とはいったいどのようなものなのでしょうか。

 教育の目的は、「人格の完成をめざし、心身ともに健康な国民の育成」とし、 現在の教育基本法で明らかにされている「平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、 個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた」という人格の中身を切り捨ててしまっています。 これでは、どのような人格を育てようとしているのかが、ときの為政者に委ねてしまうことになりかねません。


すべての子どもたちへのゆきとどいた教育を保障しない

 教育の機会均等については、「国民は、能力に応じた教育を受ける機会を与えられ、 人種、信条、性別等によって差別されないこと」とされています。 ここでも、教育基本法の国民にかかっていた「すべて」と「ひとしく」を省き、 「社会的身分、経済的地位又は門地」を省くことによって、 これまで築いてきた「すべての子どもたちにゆきとどいた教育」を求める声の根拠を巧妙にはずしていこうとしています。 すなわち「能力がなければ」教育を受ける機会が与えられなくてもやむを得ず、 経済状態によっては教育が保障されなくてもかまわないと読むことが可能な内容となっています。 現在の教育政策において教育分野においても

「新自由主義的な改革」=「弱肉強食社会づくり」

の方向が強まっていますが、 そうした政策を下支えするものに教育基本法を変質させようという意図を見て取ることができます。


家庭に「責任」、こどもに「規律」をおしつけ

 「報告」では、「家庭教育」の項目を新たに起こし、 「家庭は、子育てに第一義的な責任を有するものであり、親はこの健全な育成に努めること。 国・地方公共団体は、家庭教育の支援に努めること」との項をおこしています。 これは国家がその責任を放棄し、教育上起こる問題について最終的な責任を家庭におわせることを目的とした条項です。

 家庭教育の大切さは誰も否定するものではありませんが、 それは行政がとやかく言うべきものではありません。 むしろ現在の長時間過密労働や失業・倒産など、政治の貧困が家庭を破壊しているのが実態です。 その責任には目を向けず、 教育の責任は家庭などと結局は国民に責任を押しつけるような政治など国民にとっては百害あって一利なしの存在です。 そもそも歴史的に言えば教育は私事であり、 各家族に委ねられていました。大部分の民衆にとってみれば教育とは親の職業の継承であり、 それゆえ身分制も維持されてきたものです。 しかしながら近代社会においては「人間の平等」が共通の認識となり、 まさに「社会的身分や門地」によって差別されないことが常識となっていったのです。 すなわちどのような家庭(事情により家庭がない場合も含め)に育つ子どもも同じ教育が保障されることが必要なことであり、 その条件整備が行政の責任です。 それを放棄するような文言を教育基本法に入れようとする発想は, 教育を100年以上以前の水準に引き戻そうというものに他なりません。

 学校教育に「規律を守り、真筆に学習する態度は、教育上重視されること」との項目を新たに付け加えています。 これも校内暴力、授業放棄等の問題に対する対処として入れられたのでしょうが、 子どもたちを力でおさえこもうという意図が読みとれます。 こうしたやり方が何の解決策にもならないことは、数多くの実践が明らかにしているところです。


内容は政府が決定し、
    批判は許さない問答無用の教育行政

 教育振興基本計画について、「政府は、教育の振興に関する基本的な計画を定めること」 との文言を新たに付け加えようとしています。 教育の方向について政府が基本方針を定めようというもので、 教育基本法で禁じられている教育内容への介入へ大きく道を開くものです。 そして、「教育行政は、不当な支配に服することなく、 国・地方公共団体の相互の役割分担と連携協力の下に行われること」にいたっては 「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」 との教育の独立をうたった教育基本法の精神を180度ねじ曲げるものです。 戦前の教育を国策の道具として国民を戦争に導いたことへの反省を捨てさり、 教育内容はすべて政府が押しつけるという戦前的な発想をもって 教育基本法を改悪しようとしていることが明白となっています。

 政府の方針に従わない教育活動については、 たとえ父母・地域の支持があり、 子どもの成長のためどれだけ工夫されたものであったとしてもすべて「不当な支配」として認められず、 そのような教育活動を行った教員は学校現場から追放されることになるでしょう。

 それこそが教育基本法改悪勢力のねらいです。


教育基本法改悪攻撃の本質を明らかにし、
      「教育基本法を守ろう」の声を大きく

 与党の中間報告を概観しましたが、 その内容は教育を戦前の教育勅語体制にあともどりさせるものであり、 絶対に許すことができないものです。 これは憲法9条改悪の動きとともに、 日本を「戦争する国」にするために教育を変質させようとするための動きに他なりません。

 こうした攻撃を許さない声を大きくしていくことが必要です。



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