Homeニュース一覧ニュース

日本育英会奨学金と小泉「構造改革」

2001年11月06日


生徒たちの就学保障の取り組みを
日本育英会奨学金と小泉「構造改革」

ー 浮き彫りになった「特殊法人改革」の問題点 ー

既にお知らせした通り(調査情報bP8)、財務省は、来年度予算編成に向けた概算要求において日本育英会奨学金予算を119億円(9.5%)も削減する方針を明らかにしました。このため、日本育英会は新規の奨学生数枠を決めることが出来ず、奨学金希望者への内定通知が大幅に遅れ、生徒たちや父母の間に不安が広がっています。

「行革」推進事務局、無利子奨学金をさらに絞り込むよう指示

塩川財務省は、概算要求において特殊法人向け予算を5700億円しか削減できていないことを不満として「あと5千億円から6千億円削減し、小泉内閣の目標1兆円に近づけたい」といっそうの削減を要請しました。これを受け、行革推進事務局は日本育英会に対し無利子奨学金の下記案からのさらなる「絞り込み」を指示しました。

【現在検討されている削減案】

無利子奨学金 42万3千人 ⇒1万6千人削減し40万6千人へ
有利子奨学金  33万人   ⇒6万人増やし39万人へ
※現在、無利子奨学金のさらなる「絞り込み」を検討中で奨学生数を決定できない

長引く不況の下、阪神間の職業高校では授業料減免生徒数が30%を超え、また、明石市内の普通高校でも10%を超える学校が出てきていいます。当然のことながら、無利子奨学金を希望する生徒が急増しています。無利子奨学金枠と予算の大幅な削減を強行しながら、有利子奨学金を増やすことで、とりあえずその場だけを取り繕うとする小泉流「構造改革」の欺まん的な手法は許せません。

国民国公の教育ローンと統合し、銀行の教育ローン支援事業に移行へ

日本育英会は、約75万人の学生・高校生を対象に奨学金を貸与し、経済的な困難を抱えながらも勉学に取り組んでいる生徒たちの生活を支えています。奨学金としてはきわめて不十分な内容とはいえ、深刻化する不況の下、そのはたす役割はいっそう重要となってきています。

しかし、政府は、当面、無利子奨学金は「優れた生徒」に絞り込むとともに有利子奨学金は国民生活金融公庫の教育ローンと統合するとしています。そして、いずれはすべてを民間金融機関に委ねることで銀行のためにもうかる「市場」として拡大することを表明しています。文部科学省は、全面的に民間金融機関に任せることには「抵抗」していますが、基本的には特殊法人・日本育英会の「民営化」には賛成しています。

【日本育英会と国民公庫・教育ローンとの違い】

  日本育英会 国民公庫
貸し付け相手 学生本人 親(親の返済能力が審査されることになる)
金利 0.5%(在学中は無利子) 1.85%
貸付額最高額 4年間で480万円  4年間で200万円 
返済期間 最長で20年  最長で10年

日本育英会と国民公庫との統合は国民公庫への利益保障を最優先するため、貸与条件はいったん国民公庫に揃えられ、その後、いっそうの改悪が予想されます。すべて民間の金融機関に移行すれば経済的に困難をかかえた家庭の生徒の進学の道が閉ざされることになりかねません。「銀行に利潤をもたらさないような家庭の子どもは進学する資格はない」というむき出しの「市場原理」を教育の世界に導入するものです。

もうかる部門は「民営化」、借金は「清算事業団方式」による税金返済

小泉「構造改革」の中でも「特殊法人改革」への期待は大きいものがあります。例えば、石油公団は293の石油開発会社に2兆844億円を投融資し、配当金は1703億円、現在の欠損金は3518億円で1兆円にふくれあがるといわれています。日本道路公団や大規模開発のために設立された特殊法人にも同様の問題点があり、大企業奉仕とむだな公共事業にメスを入れるためにも特殊法人の改革は絶対に必要です。

しかし、問題は改革の方法です。小泉「構造改革」では、利益が上がる分野はすべて「民営化」するとされています。この分野は、日本育英会奨学金や住宅金融公庫、そして、中小企業向け融資など国民に不可欠なものです。不可欠だからこそ国は手を引き民間企業のもうけの場するというわけです。では、道路公団などはどうするのでしょう。もうかる道路などは民間に払い下げ、赤字道路は国鉄民営化の時のように「清算事業団方式」で税金で支払おうというのです。小泉流「特殊法人改革」を許してはなりません。

高教組通信No.12 2001年11月6日付 より



パスワード