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生徒たちを直撃する小泉不況-県奨学金など就学保障の取り組みを

2001年11月26日


「市場原理」=大企業のやりたい放題の社会に日本を変えようとする小泉「構造改革」。失業率は4.8%から5.3%に急上昇。国連社会権規約委員会から長時間過密労働、人権無視のリストラに重大な「懸念」が表明されるほど大企業の横暴がまかり通る日本社会。そのような中、生徒たちに小泉不況が直撃しています。

家を失い公園で生活する生徒、寮費が払えず退学する生徒…

2001年確定闘争での県教委交渉で定時制高校の組合員から次のような発言がありました。「親がリストラにあい、家を追い出され行方不明になっていた生徒を公園で生活しているところを見つけました。学校を退学すると奨学金を返済しなければならない。もちろんそんなお金はありません。生徒と話し、何とか学校を続けるようにさせました。市会議員にも相談し、県住も世話をしました。今は、何とか働きながら学んでいます。この生徒の場合、やっとの思いで学校を続けています。しかし、やめてしまったら奨学金を取り立てる。特例措置など何とかならないのですか。」。淡々とした訴えでしたが、高教組組合員の生徒たちの就学保障のための献身的な活動と就学保障制度の充実の必要性を象徴する発言でした。

家を失わないまでも、寮費を払うことができなくなって退寮処分となり、その結果、高校も退学せざるを得なくなった生徒。授業料減免措置は受けられても修学旅行費を払えず参加できない生徒。親がサラ金に追い立てられ授業料が払えないにもかかわらず「書類不備」で授業料減免措置が受けられない生徒。日本育英会の無利子奨学生枠の削減で大学進学に不安を抱く生徒。そして、就職を希望しながら未だに就職先が決まらずいらだちと不安の中で毎日の高校生活を送っている1000名近い高校生たち…。

個人の努力では問題は解決できない

授業料滞納で進級できない生徒をどうするかで学年の先生方は困りはてていました。退職を前にした校長は「私がたてかえます。借用書などいりません。」と学年の先生方に申し出たそうです。他にも、先生方の学年親睦会から、中には、担任がこっそりとたてかえているケースもあります。

また、進路保障にかかわって進路担当者や担任の苦労には大変なものがあります。ある学校の進路担当者は、授業を午前中につめ、毎日のように企業訪問し求人を依頼しています。また、求人がなく就職をあきらめ専門学校に希望を変えた生徒の担任。生徒には公的な職業訓練校しか進学の道はありません。しかし、希望者が殺到し不合格。担任の先生は、生徒と一緒に毎日、進路指導室を訪れ必死に進学先を探しています。

逆にこのようなケースも出てきています。非常識にも管理職が、「授業料滞納者が多数いるのは問題だ」として学年の先生方に家に出向いて集めるように要請したのです。疑問に思いながらもしかたなく担任の先生が夜遅くまで親の帰りを待ち授業料の支払いを督促をしました。その場でいったい何か起こったのか。教師がサラ金取り立ての業者と同じようなことをすればどうなるかは目に見えています。

小泉不況の下、事態は大変深刻です。教職員の個人的な善意や努力では、生徒たちを守りきることは不可能です。県独自の奨学金を設けること、授業料減免枠の拡大と手続きの簡素化、そして、何よりも高校生たちの就職先の確保に国や県、そして、県教育委員会が真剣に取り組むことが求められています。

独首相、「企業には雇用守る責任」があると明言

独も現在、景気後退に見まわれています。そのような中、独企業でもリストラの動きが出てきています。この問題で、シュレーダー首相は、「独の大企業が大量解雇を行おうとしているが、企業には雇用を守る責任がある。大事なことは景気悪化をリストラの口実にしないことだ」と明言しました。そして、フォルクスワーゲン社と金属産業労働組合との間での「新ライン建設による五千人失業者雇用」合意などの例を挙げ、経営者は、景気後退の時こそ雇用を守るために、「いっそう創造性を発揮すべきだ」とも述べました。「市場原理」=弱肉強食の原理にまかせるのではなく、人間の理性と良識による資本主義の規制を訴える独首相の姿は、多くの人々に未来への希望を与えるものです。

小泉首相、人権侵害があっても「経営者と労働者の話し合い」まかせ

「市場原理」は弱肉強食の原理であり、資本主義社会は、理性と良識による規制がなければ金儲けのために暴走をはじめます。日本は、「ルールなき資本主義」といわれてきましたが、小泉内閣の登場で「暴走する資本主義」に変わろうとしています。

異常な日本社会のあり方に対して国連社会権規約委員会は2つの勧告を行いました。

第一の勧告は、日本政府が過大な労働時間を容認しているとして「労働時間を削減するために必要な立法及び行政上の措置を取ること」

第二に、日本政府がリストラを容認しているとして「45歳を超える労働者が元の給与水準、及び雇用の安定を維持することを確保するための措置を取ること」を勧告しました。

この問題を、21日、日本共産党の志位委員長が党首討論で取り上げ、「NTTなどが進めようとしている大リストラ計画は、国連勧告を無視する人権侵害である」と追及しました。ところが、小泉首相は、「経営者側と労働者側でよく話し合いを」というだけで何の行動も取らないことを明らかにしたのです。独首相は、理性と良識に基づき資本主義社会が持つ矛盾を解決することで未来への展望を見いだそうとしています。小泉首相は、弱肉強食の社会こそ日本の今後ににふさわしい社会と考えているようです。

当分の間、小泉不況の嵐が吹き荒れることは避けれません。高教組は、県奨学金、授業料減免制度の改善などの就学保障の取り組みをねばり強く進めていきます。

高教組通信No.15 2001年11月26日付


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