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2月13日、複数志願制に関する県教委交渉の報告

2002年02月22日


交渉団の質問にまともに答えられなくても、県は複数志願制を導入する姿勢崩さず

2月13日(水)に、県高支部からは吉田支部長はじめ3名、本部から小野書記次長ほかが参加して、高教組と県教委との複数志願制についての交渉がおこなわれた。県教委側からは、「垂水出前トーク」で説明にあたった山本主幹と石井主事ほか1名が出席した。

交渉団の主な質疑(○)と県教育委員会からの回答(◆)の要旨は下記のとおり。

○県教育委員会は、「複数志願制になれば公立高校に入りやすくなる」と言っているが、複数 志願制の導入で受験競争は緩和するどころか一層激しくなり、合格の予測もしにくくなり、公立高校への入学がしやすくなるとはとてもいえない。また、加算点があることによって、公立高校に合格できる合格ラインも加算点の分だけ上昇することになり※、例えば総合選抜制に比べて合格できない生徒が多く出てくる。決して公立高校に入りやすくはならない。

○例えばA高校で第2志望の者が加算点がないために不合格となり、その生徒より素点の低い者が本人の努力と関係ない加算点によって合格することについて、何も問題はないのか。

◆加算点は、第1希望の者全員にあるから、問題はない。(※末尾注参照)

○加算点そのものにも問題がある。そもそも加算点を教育委員会が設定できる法的根拠は何か。

◆加算点は、第1志望という意欲に対する点でり、高校間の序列化をなくすためのものである。

○実施計画には、平成13年度周知とあるが周知できたと考えているのか。現在教育委員会が示しているものは、加算点、合否判定作業など全く不明のものであり、既に確定しているものも志願変更ができないことについては変更できるようにするといっており、このようなものを公表しても周知したことにはならない。

◆平成13年度は周知の初年度という意味、14年度も周知をすすめる。

○肝心の複数志願制についての説明・周知が進んでいないことは大問題だ。せいぜい新聞発表でしか知らない父母も多いし、中学校からの説明も受けていない保護者も多い。加算点も確定しておらず、志願変更についても今できるように検討している状態では、中身を十分わからず県教育委員会でさえ説明が難しいこの複数志願制について、中学校で説明しなさいといっても無理ではないか。リーフレットを読めばわかると思っているのか。

○複数志願制については、何しろ当事者の認知度が低いことが問題、中身がわからない・十分説明されていないんだから、合意どころではない。試験制度が複雑すぎる。大学でもコンピュータを利用した入試処理でミスが出ている。ミスが少ない(出にくい)入試制度がよい。

○(地域に、父母に、PTAに、中学生に、中学校に)周知されていないことがネックだ。昨年度に発表したというが、昨年度の終わりの終わり2001年3月末の発表だ。(昨年度といっても 年度初めと年度終わりでは1年間の違いがある)なぜ、当事者の親や中学生に説明も周知も極めて不十分の状態で、性急に新しい制度を導入しようとするのか。無理矢理押し切って、子どもたちが制度改革の犠牲者となったらどうするのか。そのとき行政は責任をとるのか。

◆教育委員会は「長期構想検討委員会」以来の経過を説明しながら、地域フォーラムなどでも意見を聞いた、中学校向けに説明会を開いた、中学生や保護者にはリーフレットを配布したなど、あたかも十分説明責任を果たしたと言わんばかりの説明に終始。

○教育委員会は「総合選抜制では高校選択の自由がない」「志望校を自由に選ぶことが制限されている」と説明しているが、これはとんでもない誤認だ。総合選抜制地域でも生徒は志望校を自由に選ぶことができる。事実と明らかに相違することを書いたリーフレットを訂正するか、回収するかせよ。

○総合選抜制では、ほとんどの高校において本人が納得して入学してきた生徒だ。大半の子が第1希望で入学している。複数志願制で学校間格差が緩和されるというが、よく検討したら、緩和されるどころではない。総合選抜制地域では学校間格差は大きくないし、希望校に確実に合格でき、実際入学している。(総合選抜地域の高校からの発言)

○総合選抜制の地域では、どこを志願しようと最終的にはどこかに入学できる可能性が高い。その意味では単独選抜制より総合選抜制の方が、制度上志願の自由が保障されているではないか。間違った説明はやめるべきだ。

○選択の自由を増やしたら競争が激しくなるのは自明で、加算点を入れたからと言って序列や格差の一部に変動は起こっても、格差や競争が緩和するということはあり得ない。

◆加算点だけで高校間格差や序列が緩和するとは思っていない。そのため高校の特色化をすすめていく。(注※※)

○高校改革第1次実施計画では「15年度大規模学区から導入する」とある。これなら16年度入試から実施すると理解するの当たり前だ。なぜ、入試に関してだけ違う数え方をするのか。そのような数え方について一切説明もないのに、父母や子どもがそのように理解できると考えているのか。

◆15年度には導入している、という書き方になっている。

◆加算点についてはメドが立っている。志願変更できるよう変更することについては、他の地 域では志願変更を認めているのに認めないのは不公平だし、これまで続けてきたことがなくなるととまどいや混乱が起こるので、志願変更ができるようにした。

○それなら、変更しなければならないことは他に沢山ある。なぜ志願変更だけは変更するのか。

約1時間の交渉では質疑も回答も限られたものになったが、納得できる説明を聞くことが できなかった。どんなに問題点があっても、複数志願制の神戸第3学区への導入を強行しようとする県教育委員会の姿勢がそこにあった。

※(教育委員会は「ある一定以上の学力や入試成績をとれば、公立高校に必ず入学できる。その点において総合選抜制のいいところをとった」と説明しているが、「ある一定以上の学力や入試成績」は、総合選抜制に比べて複数志願制は加算点の分【2月15日の県提案では50点】だけ高い。総合選抜制では、基準点以上であればほぼ確実に公立高校に入学できるが、複数志願制では公立高校に確実に入学できる人は、基準点より加算点の50点を足した点以上をとった人であり、高校入試における基準点直上の50点の間にどれだけの多くの生徒がひしめき合うことになるか、考えるべきだ。総合選抜制では基準点より上位であれば必ず入学できるが、複数志願制では上位の成績でもどこの高校を志望するかによって不合格になることがある。合否の予測がしにくいため、成績上位であっても、不合格になる不安は大きい。「加算点は第1希望の者全員にあるから、問題はない。」と回答しているようでは、教育委員会が問題点がどこにあるかも認識していないことになる。

県教育委員会は、どのくらい割合の者が第1志望で合格できると考えているのか。もし100%近くの者が第1志望で合格できるのであればまだいいが、第1志望で合格できない者が相当の割合で出てくることは確かであり、公立高校に確実に入学合格できるラインは、総合選抜制に比べて加算点分だけ高くなることは紛れもない事実だ。複数志願制で、第1志望で合格できない者の割合が例えば2割、3割、あるいはそれ以上にもなれば、問題である。要するに第2志望校は、大変不利なので本人の希望の度合いの少ない高校を志望しないと不合格になる、したがって、今までだったら、志望校のランクを1つ落とせば合格できたものがそれでは確実に不合格になる、というのが複数志願制。ということは、確実に合格しようと思えば、第1志望校そのものをを入試難易度で1ランク落とす以外にないことになり、これでは現行の単独選抜制と何ら変わらない。むしろ、不確定の要素が増える分だけ、単独選抜制より合格がしにくくなる可能性さえある。これが杞憂でないのが、複数志願制の怖いところである。

2月17日に垂水で開かれた学習会で中学生の子どものいるお母さんが、「複数志願制は導入の仕方も乱暴で子どもや親に対する愛情が感じられないけれども、複数志願制そのものも子どもに対する愛情が感じられない入試制度だと思いました。」と感想を述べられた。「選択の幅が広がる」「自由に選べる」がキャッチフレーズの複数志願制だが、その実像は子どもや親の立場から見てつくられた入試制度ではないことが浮き彫りになってきている。多数の不合格者を出さないようにしようとすれば、中学校での進学指導を強めるしかないが、不確定要素が多すぎて今までのような中学校での進路指導は事実上できない。それに、県教育委員会が「中学校での進路指導が神戸第3学区の学校間格差や序列を生み出した」と、中学校での進路指導を名指しで槍玉に挙げて批判しているのだからなおさらである。

(注※※)2月12日兵庫教組と教育委員会との交渉で、高校教育課は次のように回答している。

「複数志願制と表裏の関係にあるのが、《高校の特色づくり》である。長田高校は《学び方》で、星陵高校は《国際化》で、須磨東高校は《類型化》で特色を打ち出している。

また、『特色選抜』をこの複数志願制と同時に導入を考えている。一定の定員で、『特色選抜』を普通科各校の中に設けたい。」


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