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教職員、生徒、父母の願い無視

2002年03月22日


戦後高校教育の成果をだいなしにするもの

県教委は、神戸第3学区への複数志願制導入にあわせ、神戸第3学区はもとより、他の学区においても普通科各校で「特色化」が進んだとして、来年度入試から推薦制を導入しようとしています。そして、「推薦入試を希望する高校」は、3月中旬までに申し出るよう半ば強制していることが明らかになりました。

類型導入と普通科への推薦入試実施の提案はじまる

神戸市内のある県立高校で、校長から「私案」としながらも国際類型を設け、来年度から「類型の推薦入試を行う」、「3月中旬までに県教委に報告したい」旨の提案がありました。また、同校校長は、類型設定と推薦入試は「実施計画」によって「すでに決まっていること」と職員に説明しました。 しかし、提案された国際類型とは、いわゆる「文系」にいくつかの科目を追加した程度のものです。これでは、多くの普通高校で既に実施されている選択科目群の中からの選択にいくつかの科目の履修を義務づけた程度の内容にすぎません。このようなものを「特色化」などと宣伝し「推薦入試」を導入すれば、多くの中学生や父母に誤解を与え、そして、中学及び高校教育に無用な混乱をもたらすだけです。

また、驚くべきことに、提案された文書では、なぜ、国際類型を設け推薦入試を実施しなければならないのか、また、そのことが、同校が抱えている諸課題の解決にどうのように役立つのかなど最も肝心な問題の解明や説明が全くなされていないのです。当然のことながら、何名の生徒を推薦入試で募集するのか、推薦で入学した生徒に類型や選択科目を「強制」できるのか、どのような入試問題を誰が作成するのかなど全くふれられていません。学校教育に責任を持つべき校長がこのような無責任な提案をすること自体大変異常なことといわざるをえません。

高校教育課と一部校長の「密談」で進められる

高校教育課は、上記県立高校への国際類型導入などについて、2月12日の兵庫教組との交渉において「A高校は、『学び方』で、前記県立高校は『国際化』で、B高校は『類型化』で特色を打ち出している。また、『特色選抜』をこの複数志願制と同時に導入を考えている。一定の定員で、『特色選抜』を普通科各校の中に設けたい。」と回答していました。同県立高校長の「3月中旬までに県教委に報告しなければならない」などという職員への説明はその場をとりつくろう発言にすぎず、事前に高校教育課との「密談」によって決められていたことは明らかです。上記の事実は、「特色化」や普通科への推薦入試導入などが、教職員、生徒、父母の願いや要求などそっちのけで高校教育課と一部校長の「密談」によって推進されている実態をあらためて明らかにしたといえます。

大学の「特色化」はどこに行き着いたのか

高校教育課は、それぞれの学校が「特色ある学校」となり、生徒たちが、自分が学びたいと思う学校を目的意識的に選択し入学するようになれば、現在の学校間格差はなくなり、生徒たちの学ぶ意欲も大きくなる説明しています。しかし、このような説明は、現実をふまえない空論に過ぎません。

例えば、大学では、1980年代、大々的な「特色化」と「特色入試」を行い、その結果、現在では、考えつくありとあらゆる学部、学科が存在します。では、大学間格差は解消し、大学生の学ぶ意欲は増大したでしょうか。「特色化」がもたらしたものは、大学教育の質的低下と学生たちのいわゆる「学力低下」、そして、「特色入試」による高校教育の歪みと混乱だったのではないでしょうか。

さらに重大な問題は、「生き残り競争」をかけた国立大学間の「特色化」競争の行き着いた先は、大規模な統廃合と独立行政法人化(民営化)、そして、国立大学教職員の非公務員化でした。国立大学で「バスに乗り遅れるな」と競った「特色化」とは、多くの国立大学を廃校にするための地ならしにすぎたかったといえます。同じ過ちを高校教育課と一部校長はおかそうとしているのです。

「特色化」、普通科への推薦入試導入を許さない取り組みを

国立大学の大規模な統廃合と事実上の民営化を許した一つの背景には大学の先生方が善意からとはいえ「生き残り競争」にまきこまれたことがあります。「生き残り競争」によって各大学が「地域の大学」という性格を弱め、地域から遊離してしまいました。その結果、支えてくれる地域基盤を失った多くの地方国立大学が廃校にされようとしているのです。このまま事態が進めば、大学も地域も取り返しのつかない損失を被ることになります。

私たちは、多くの国立大学がおかした同じ過ちをくり返すことは出来ません。高校教育の「特色化」の狙いは、繰り返し指摘してきたように公教育の縮小・解体と教育の複線化です。「特色化」に反対するとともに、地域に根ざした学校として生徒、父母、そして、地域に役立ち、地域社会とともに発展する道を勇気を持って探求していきましょう。

高教組通信No.28(2002年3月1日付)より


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