育てと平和・教育を考える市民集会開催(11・10)
子どもが輝く学びを今こそ
久田敏彦先生の講演と車座になっての懇談に,保育所から高校まで父母と教師が集う

<講演より>
久田先生は,「学力低下」の問題を最初のテーマとして取り上げられて,次のような見解を述べられました。
本当に学力は低下しているのか
今回の「学力低下」問題の発端は大学の側からの提起でした。「数学のできない大学生」の問題がマスコミでクローズアップされたほか,
新聞社などの大学人へのアンケート調査などで「学力低下」の実態が報告されました。また,業界から,国際競争力の衰退を理由にした
新学習要領の中止要請がでる,さらに民間教育研究団体から指導要領批判が出るなど,各方面からの文部科学省への風当たりが強くなりました。
文部科学省は「学力低下はない」としながらも,結果として,「学習指導要領は最低基準」などと,突然従来と違った対応をするようになり,現場は多いに混乱しました。
ところで,「学力低下」を心配する事態はこれまでに少なくとも2回ありました。戦後すぐの時期と詰め込み教育批判が出た時期です。
そのたびに「学力とは何か」などの本質的な論議が教育関係者の間で論戦されましたが,結局は結論はでていません。
学力とは何なのかがわからないままに,主に小中レベルの数学のうち,計算力の不足を理由として「低学力問題」が提起されているのが現状です。
本当に学力は低下しているのでしょうか。
習熟度別授業は学力低下を改善するのか?!
実際,現実として学力低下はあると考えられますが,調査によれば,階層(所得格差)による学力差の拡大が報告されています。
学力低下に関しては,各方面からいろいろな問題提起と提案がなされていますが,そのことにはほとんど触れられていません。そして結論として,
異口同音に「習熟度別授業の実施」が学力問題解決の切り札のように叫ばれているのが特徴です。
諸外国にもある学級崩壊,原因は何か?
そのあと,先生の話は「総合的な学習の時間」や「生きる力」の問題など多方面に及びましたが,印象に残ったものを記します。
日本では近年「学級崩壊」が大きな問題として取り上げられていますが,それはドイツにもあります。子どもの暴力問題や指導受容拒否問題
として取り上げられています。退学に恨みを持った元生徒が自動小銃を乱射して十数人を殺害したのは大きく報道されました。
また,フランスでも校内暴力の増加などが問題になっています。原因の一つとして上げられるのは,TVゲームなどが原因で,バーチャル世界と
現実世界の区別がつかなくなった子どもの悲劇です。TVゲーム機が西欧でも子どもの世界に浸透しているのです。それを開発し輸出しているのが
日本のメーカーなのです。
「子どもの最善の利益」を守る大人たちの共同を求めて
学力低下問題に対する教師のかまえはいかにあるべきか次の4点を指摘されました。
1) 子どもの参加としての学びと授業
2) 学びの意味のつかめる授業
3) 「問い」のストーリー性を紡ぐ授業
4) 学びを共同化する中で子どもが輝く
学力保障の問題に限らず子どもの権利条約に規定されている「子どもの最善の利益」をいかに守っていくのかという観点から,
大人たちが共同の輪を広げていくことが大切なのではないかと思います。
<懇談会>
講演の後,参加者が車座に座りなおし,講演の感想やら学校の現状やら,親の思いやらを自由に述べあいました。ごく一部を簡単に紹介します。
母親:先生方と本音で話し合えるような機会が欲しいし,そういう関係でありたい。
母親:不安な気持ちから,とりあえず勉強だけはさせといたほうが良いのではないかと考えて,子どもを塾にやってしまう。これから将来,
どんな子どもが求められているのでしょうか。
小学校教師:すぐに塾に走るのは親が悪いと考えていたが,自分が親の立場になってみて,神戸第3学区の親なんかの不安な気持ちが良く
わかるようになった。
母親:近所の子ども5人で週に3回程度勉強会を開いている。お母さん方ともいろいろ交流できるし,子どもたちも楽しんで勉強している。
中学教師:習熟度別授業は止めて欲しい。子どもが教えあい高めあう授業実践ができなくなる。
久田先生:マカレンコの言う市民として生きる親を実践して子どもに指し示すしか「どんな子が求められるか」の答えはない。
この会を開催するに当って,父母を交えた実行委員会が3回開かれ,高教組もその一員として参加しました。実行委員会そのものが「教育懇談会」のようで,
今回の集会が終わった後も,継続して開催していこうと言うことになっています。続けていければ,意義あることだと思います。
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