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池田香代子氏講演から〜要旨報告(神戸県立支部)

2004年06月01日


池田香代子氏講演
〜「100人の村」から 平和と憲法を語り継ぐ〜

2004/05/30 第48回兵庫県母親大会in尼崎(1200名参加)
(要旨作成 by S.N.)


   100人村基金

 私は、2001年9月11日まで、平和のことについて、あまり関心が無かった。今から思うと、テレビで得る程度の知識はあったが、心に達していなかった。
 911のあと、インターネットを通じて、若い人々からいろんなことを教えてもらった。何故報復なのか、何故攻撃なのか、何故アフガニスタンなのか、わからないことがいっぱいあった。知りたいと思って、ちょうどアフガニスタンで医療ボランティアをずっと続けているペシャワール会の中村哲先生の講演があったので聴きに行って感動した。その講演で、中村先生は緊急募金を訴えた、目標金額2億円。その額にびっくりした。
 自分に何ができるか、ということを考えて、インターネットの中を10年近く民話のように流れていた100人村をまとめた。その印税を中村先生の募金に回すために。100万円位募金できればいいな、と思っていた。結果は予想を遙かに超えた。本は、130万部に達し、印税は、税金等を除いて3480万円に達した。一方の中村先生の緊急募金も、数ヶ月の間に10億円を突破していた。ボランティアやNGOの草の根運動は、阪神淡路大震災のあたりから私が想像もできないくらい深まっていたのかもしれない。
 結局、中村先生に100万円を受け入れていただいた残りで、100人村基金を作った。その基金を使うための調査をしているうちに、いろんなことを知った。

   難民問題

 「難民」について、私は、ほとんど知らなかった。日本にも難民が来ていて、難民だからこそ保護しなければならないのに、日本ではそうなっていない。難民は、本国で逮捕状が出ていて、まともなパスポートが出るわけがない。必死でブローカーを頼って逃れてくる。でも、日本では不法入国者として扱われ、収容されていく。本国へ送還することを前提に。100人村基金は、日本へ逃げてきた難民のために使われた。
 神奈川県の牛久市にある難民収容所には、たくさんの難民申請者が収容されている。アフガンニスタン、いろんな国籍のクルド人、ラオス、アフリカ……、宗教的・政治的な理由で本国を逃げてきた人たち。彼らを救うために、何十人もの弁護士が無給でかけずり回って、一人ひとり仮出所させていく。でも、逃げてしまわないように、国(法務局)は、ひとり30万〜75万の保証金を取る。仮出所できた難民には、最低限の衣食住も必要になってくる。それらを支援する市民団体もあるが、空雑巾を絞るようにしてお金を作っている。100人村基金を充てることができて良かった。

 『母さん、僕は生きてます』という本を紹介します。アリ・ジャンという18才のアフガニスタンの青年が、7ヶ月も収容所に入れられて、その間に2回も自殺未遂事件を起こしました。今、彼は、日本語検定3級を取っています。すごい勉強家です。タレントの島田伸介さんが、彼のために「芸能人オークション」を立ち上げてくれました。その時、島田さんが、私の手を取って、泣きながら「(難民申請者に対して日本がどんなひどい扱いをしているか)知ってしもたらしょうがない、何でもする」と言ってくれました。

 日本の難民申請者の収容という問題は、制度の運用の不備だ。私たちが知らないことをいいことに、日本の法務局がさぼっている。制度はある。30年前に日本は難民条約を批准していて、「難民申請者を収容してはならない」という条項もある。だから、せめてものこととして、仮釈放の保証金を、100人村基金から、30人分くらい、出している。ただ、彼らは、仮出所して「収容されていない」というだけで、難民として認められたわけではない。月に一度、出頭する。また、健康保険も無い。

   自分でできることをする

 自分ができることを、一人ひとりがする。これなら自分もできる、ということをする。自分に何ができるか、ということを考える。
 例えば、新聞記事で、或る記者が勇気を持って本当のことを記事にする。でも、批判のメールや電話が集まる。社内で問題になって、それ以上のことが書けなくなる。でも、その批判を上回る賛同のメールや投書があれば、その記者はもっと書ける。その記者が記事にしたのは、彼が集めた分厚い資料のほんの一部だけだから、その勇気をみんなが支えれば、もっともっと記事になる。たとえばテレビでは、一枚の葉書の後ろには一万人の視聴者が居る、と信じられている。いい記事やいい番組には、是非とも葉書を出してほしい。

 例えば、
「いい放送をありがとう。」「みんなが見たいと思っているので、もう一回放送して下さい。」「ぜひともゴールデンタイムで取り上げて下さい。」
「いい記事をありがとう。」「もっと知りたいので、詳しく書いて下さい。」
などの励ましを送りましょう。メールでもいいけれど、できれば葉書に手書きで。

 記者や番組制作者にエールを送るのは、メディアの外にいる私たちの仕事なのです。と同時に、嘘を見抜く力も付けなければいけない。

   憲法について

 憲法前文は、英文では、"We,Japanese……"から始まっている。つまり、『われら日本国民は……』ということで、自分たちの憲法だ、というイメージがある。
 憲法はGHQから押しつけられた、と言う人がいるが、そうではない。日本の憲法学者たちが憲法の下書きを作って、それをそのままGHQが土台にして、いろんな国々の憲法の精華を取り入れていった。それで憲法はいろんな国の憲法の寄せ集めだ、と非難する人がいるが、それだからいいんです。一体誰が、どの国の憲法も参照しないで作れますか。マッカーサーは、吉田茂に、憲法(9条)を一年で見直したらどうか、と示唆しています。朝鮮問題の予感があったのかもしれません。でも吉田茂は、「憲法を見直す必要なし」と、三行半にも満たない簡潔な返事を書いています。彼は、いろいろ言われるけれど、憲法は守った。そして、日本人はこの憲法を熱狂的に迎えたのです。
 憲法は、権力を縛るものです。主権者である私たちが、権力者である政治家の行動を縛るためにあります。その政治家たちが、憲法は都合悪いから変えよう、と言っている。
 この法律、憲法に合ってないね。
 いや、これは憲法が合ってないんだ、だから改憲しなきゃね、
そんな風になろうとしている。

 それと、一連の流れの中で、自衛隊志願者が減ってしまうと、今度は徴兵制へと向かうと予想する人もいる。男女共同参画社会のなかでは、女の子も兵隊に取られる。


編集後記
★去年の今頃、アラビア海に派遣された海上自衛隊が、イラク攻撃に向かうアメリカの艦船に給油している。それは、有事関連3法案やイラク特措法の成立以前で、明らかに法律違反であった。★今もそうなのだが、政府は、次々に違憲法律を作り、さらにその法律をも突破し、戦争できる国づくりへの既成事実を積み上げてきた。★今、政府は、国連多国籍軍への自衛隊編入の道への言い訳を模索している。サマワからそのまま世界の軍隊へと認知させようというのだ。★何が何でも、彼らは実現しようとしている。国民のことなど、彼らは考えていない。彼らにとって一番大切なのは、民ではなく、「国」なのだ。(meiro)

県高支部ニュースNo.07より


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