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戦争を前提とした改憲を許すな!!(神戸県立支部)

2005年03月22日


人権保障後退のねらいもあからさまに、
国家権力が国民を縛る戦争国家への道。


戦争を前提とした改憲を許すな!!


1 今、日本は……

 現憲法は、前提として戦争放棄があり、平和の理念の上に立っています。ところが、財界やアメリカの要請に従って「戦争ができる国」に変えようとする政府の暴走により、次々と有事法制が成立し、また一方で、自衛隊のイラク派兵のような憲法違反の数々の企てが既成事実として積み重ねられているのが現状です。
 このように、ここ数年、日本は急激な方向転換がなされようとしています。
 教育基本法「改正」や憲法「改正」の動きは、この方向転換で露骨に現れてきた矛盾の数々を、戦後民主主義の成果を一気に押し潰す方向で解決しようとしているのです。

2 憲法「改正」がめざすもの

 現行憲法前文には
「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とあります。

 それに対し、2004年11月に自民党憲法調査会が策定した「憲法改正草案大綱」では、
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、全世界の国民が、ひとしく貧困、環境破壊、薬物、国際組織犯罪、感染症、紛争、難民流出、対人地雷等の社会構造的な災禍から免れ、尊厳を維持した人間として創造的で価値ある人生を生きる権利を有することを確認するものとすること」(草案大綱第四章第一節「平和主義」)
と記載しており、具体的な事象を列挙しています。現憲法前文と同じことを、現憲法よりずっと具体的に書いている、ように見えます。

 でも、この書き換えには大切な点がいくつかあります。

 第一に、これだけ具体的な列挙の中に、「戦争」も「核兵器」も除かれています。というのも、この列挙はそもそも「戦争」が前提とされているのです。つまり、戦争(という社会構造)によってこれらの具体的な事象が生ずるのです。だからこの列挙から導かれるのは戦争を前提とした「テロに屈するな」という循環論法であり、そのための(核兵器を持つ)アメリカとの共同の戦争が「国際平和への寄与」だという位置づけであり、この節の名もまた「平和主義」なのです。

 第二に、「平和のうちに生存する権利を有する」ということが、きれいさっぱり削除されていることです。戦争を前提とした「改正」なのだから、「平和のうちに生存する権利」を明文化することは、彼等としてもできないのです。

3 後退し、奪われる基本的人権

 そのように明文化できないことが生じる一方で、現憲法ではあり得なかった発想が明文化されようとしています。すなわち、
 国民に「国家の独立と安全を守る責務」を課し、「国家緊急事態にあっては」国や公共団体に協力しなければならない、とされています。また、
 「国家の安全と社会の健全な発展を図る『公共の価値』がある場合」にも、基本的な権利・自由を制限できる、とされています。

 今や政府は、「自衛隊がいるところが非戦闘地域だ」などと言って押し通すような「国としての判断」をする政府であり、しかもそれが許されてしまう情勢です。ここに書かれた「国家の安全と社会の健全な発展を図る」という概念はどんなふうにでも拡大される危険があり、基本的人権の制限を、政府のフリーハンドに任せてしまうことになります。

 たとえば、健康で文化的な生活を保障している生存権(憲法25条)の「改正」では、財政危機を理由に、自己責任論や家族間での共助が強調され、弱者への年金や福祉・医療が現実に切り捨てられていることを、「新憲法」自体が正当化することにもなるのです。
 さらには、国家の安全という名のもとに、国民に情報を知らせるべきではないとして報道が規制される(大本営発表)ことにもなります。マスコミが自主規制するレベルをはるかに超えた統制が可能です。
 また、自衛隊や行政が求める協力を拒否したり、抵抗することも許されないこととなってしまいます。現憲法下でさえ、昨年来、自衛隊派兵反対のビラを配ったり、政党の議会報告ビラを配ったり等の反戦活動をしただけで逮捕され、起訴される事例が続いています。「国防義務に反する」という理由で、戦争に反対する様々な活動も弾圧されることになりかねません。成立した有事法制について、憲法上のお墨付きを与えるとともに、有事法体制のもとでは人権を主張することを許さない仕組みをいっそう拡充しようとする意図が、これらの明文化には見えています。

 

編集後記
★そもそも憲法は、国民が国家権力を縛るための最高法規である。★それが、まったく反対に国家権力が国民を縛るものに180度ねじ曲げられようとしている。★……戦後60年、私たちは「奇跡の成長」を遂げ、無邪気に豊かさを謳歌し、……いつの間にか崖の上。憲法の次の言葉に、今さらのように心が痛む。★「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。(第12条)」

……今年度最後の支部ニュースをお届けします。来年度もよろしくお願いします。


県高支部ニュースNo.39より


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