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教育基本法改正と日本の教育の将来
ー兵庫民主教育研究所 公開講座 土屋 基規 神大名誉教授ー
6月9日,高教組会館にて,表題の兵庫民主教育研究所の公開講座が講師に,土屋基規氏(神大名誉教授)を講師に招いて開催されましたので,その要旨を報告します。
「教育理念」の法から 「国家教育統制」の法へ
教基法改正のねらいの一つは,これまでの国家と教育の関係を転換することにある。現行法は「個人の価値、人間の尊厳」の尊重とともに,「平和的な国家・社会の形成者」としての個人としての人間的価値を尊重している(第1条)。
しかし「改正案」では,「公共の精神」を加え,先に出された自民党の『新憲法草案』で「国を愛する国民の努力によって国の独立を守る」という「愛国心」の強調と国民の「国防の責務」は「常に公益・公の秩序に反しない」「国民の責務」となっていることと重ねて,国家に奉仕する「国民の責務」を強制しようとするもの。
すなわち,現行法の「国民のための教育」から,「国家のための教育」「国家に奉仕する教育」をめざしている。日米同盟を主軸に「戦争できる国づくり」を内面的に連動させながら『改憲』へつなげるものと考えるべき。
教育内容への国家の介入・・・教育振興基本計画の策定 現行法が制定されるとき,戦前,教育に対して不当な支配を及ぼした最大のものは,実は教育行政であったということの深い反省によって,教育行政は教育内容に権力的に介入してはならないということが重要な原則になった・・・戦争中は,思想にまで介入していた。
第2条『教育の方針』(現行法)を『教育の目標』(「改正」案)にしたことは,国家(文科省)が教育の目標を策定、地方(各県教委)が学校の目標を策定、校長が教員の目標を策定し,それぞれの目標によって教育内容にまで国家が介入する形になります。「改正案」17条の『教育振興基本計画』で,教育内容までが具体化されてきます。
最高裁での「学力テスト」判決でも,「教師の教育権の自由を認め・・・教育内容への国家の介入は抑制的にすべき」とありますが,「改正」論者はこの辺を無視してきている。
機会均等に「障害児教育への配慮」?・・・予算措置は検討されないだろう
与党「改正」法案では,第4条『教育の機会均等』の項目に現行法に挿入する形で「障害者」への対応が書かれていますが,と参加者からの質問がありました。土屋氏の見解は,
国民的課題としてスペシャルニーズの広がりのなか無視できなくなってきた。障害者団体から公聴会を開いたわけでもなく,多くの署名が届けられたわけでもないが。
しかし,掲げたから重視ではなく『教育基本計画』に入れることはなく,特に予算措置をして条件整備をすることはないであろう。あくまでプログラム規定の範疇。
触れられただけで,期待のできない項目となりそうです。
10〜15年かけて「憲法改正」
中曽根元首相等は,教基法の「改正」で教員がすすんで国家に従属する教育をしてくれることを期待しているとのこと。そのため,「全体の奉仕者」でない教員を,現場でも教員養成段階以前からでも「変える」ことを考え,その後,10〜15年で完全に『憲法改正』を実現させようとしている。とこれからの教員の行動の責任の重要性を説かれました。
2006県高支部ニュースNo9より
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