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公務員賃金引き下げに加担する「人事院」(神戸県立支部)

2006年06月20日


公務員賃金引き下げに加担する「人事院」
公務員の生活改善の機関としての役割を捨てたのか(?)人事院

 小泉内閣の「構造改革」路線のもと,単に歳出削減をするためだけに公務員(まずは国家公務員、続いて地方公務員)の給与は,引き下げられてきました。兵庫県もこの国の流れに従う形で,給与削減を行ってきましたが,ここ数年をさかのぼってみれば,県行財政リストラを根拠とした「一年間の昇給延伸」(この春,延伸の回復をさせました)。また賃下げだけでなく、支払い済み給与を四月までさかのぼってその差額分を三月の一時金から奪い取った「不利益遡及」の賃下げ(二月の大阪高裁で「違法」の判決が出されました)。等々、私たち公務員の生活改善から離反する行為が行政当局から行われてきました。
 マスコミの多くも,ここ数ヶ月間、連日国会周辺で繰り広げられている「憲法『改正』反対」「教育基本法『改正』反対などのニュースはさっぱり出てきませんが,公務員の不祥事(勿論あってはならないことですが)は大きく取り上げ,「不適格教員問題」とも絡めて,公務員の賃金引き下げに同調するような世論形成をしてきています。


人事院とは・・・労働基本権制約の代償機関のはず!?

 すでに充分ご承知だと思いますが,ここで今一度,公務員の給与決定の過程についておさらいをしてみましょう。

 公務員は,労働者でありながら,『労働基本権』のうち、一部の職種を除き『団結権』『団体交渉権』は認められていますが『団体行動権』は認められていません。そのかわりに,人事院(国家公務員、地方公務員には各都道府県人事委員会)が「労働基本権制約の代償として、労使関係の安定と公務員給与等に対する国民の納得に寄与すること」(人事院のHPより抜粋)となっており,人事院が民間企業の賃金水準を参考にして,公務員給与額を政府(人事委員会は都道府県)に「勧告」します。政府(各県)はその勧告に基づいて,労働組合と協議の後,最後は国会(県議会)で承認を取って決定します。

 小泉内閣が「2%の経費削減」(2002年度)を目標にした時,人事院は史上初の基本給マイナス勧告“2.03%”を行いました(この年は私学助成金の2%削減も計画されました)。2003年は“−1.07%”、2004年は勧告を見送ったものの2005年に再び“−0.36%”勧告です。この動きは,政府と経済財政諮問会議の要請(=公務員の総人件費の削減)に沿った動きと連動しているようにも見えます。
 仮に,これらの時期は,『不況』で民間の賃金も下がっているということを根拠にしていましたが,企業減税と大幅なリストラで『好況』に転じた一部の大企業では賃金の上昇が見られます。なおも公務員賃金の削減を狙う政府には,大企業の賃金上昇は,困りものとなりました。

 そこで,公務員の大幅な人員削減で引き下げ,さらに更なる賃下げはできないものかと検討したのでしょうが,人事院は巧みにこの政府の『ご意向』を伺うかのように賃下げに従う方法を検討した模様です。それは「民間企業の給与算定基準となる企業の規模を縮小する」でした。
 日本の企業構造を見た時,大企業と中小企業とでは一般的には賃金に階層差が見られます。今回,人事院が「50人以上」の企業を加えた時,民間企業の賃金水準は今よりも引き下がることになるでしょう。これを根拠に公務員賃金の更なる引き下げをしやすくしてきます。

公務員賃金は民間賃金と地方経済を守っています
 公務員の賃金は,民間企業の平均から勧告されていくわけですから,この表題は間違っているように思えます。ですが,大企業はわかりませんが,中小企業では賃金の基準をなんとか「公務員並み」を目指し,その結果,特に地方ほど地域の賃金水準をある一定程度に保つ役割を担っています。また,私立学校の教職員の賃金も,公立学校の賃金表を基に算出しているところがあると聞いています。
 地域の賃金水準を保っていることで,地方都市や地域の商店での購買が維持され,それによって地方経済を、さらには日本経済全体を保っていることになっています。
 仮に,人事院の給与算定基準に,現在の公務員賃金の水準を目指している中小企業が多く入った場合,公務員賃金は削減され,それに合わす形で「公務員並み」を維持していた企業の賃金も低下します。それは地方での購買力の低下に繋がり,地方経済と、ひいては日本経済の低下を招くことに繋がります。しかし,それでもまだ日本人の賃金はドル建てで換算した場合,世界的には高水準なので,改めて大企業が生産部門を発展途上国から日本へ移し替えるというようには向かないでしょう。

いま人事院がなすべきこと・・・中立機関として処遇改善を!!

 全国にはおよそ730万人の公務員および公務関連労働者がいます。その人たちと家族の生活改善のためだけでなく,民間企業と地域経済を維持するためには,人事院がなすべきことはなんでしょうか。政府・経済財政諮問会議の“まず行財政改革、賃下げありき”ではなく,中立機関として定員削減と合理化が進められるなかで厳しい労働を強いられている職員の処遇改善や労働条件整備の確保です。

私たち高教組は,他の労働組合とともに,人事院に以下の要求をして署名を集めています。

1.100人未満の比較対象企業の調査結果を反映しないことを含め、賃下げ勧 告は行わないこと。
2.人事院勧告の社会的影響を踏まえ、公務職場に働くすべての労働者の生活改 善につながる勧告をおこなうこと.

2006県高支部ニュースNo10より


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