シリーズ 有事法制を斬る(その3)
有事法制3法案:恐るべき内容
前回までのシリーズで、有事法制は、米国の戦争に日本国民を強制的に動員するためのものであり、しかも米国のたくらむ戦争は、核兵器の使用も辞さない危険なものであることを論究しました。今回は、有事法制3法案の危険な中身について研究します。
「有事」とは何か – 米国がアジア太平洋地域で戦争を起こしたら発動!
有事三法案の中心である「武力攻撃事態法案」では、武力攻撃の「おそれのある事態」や「予測されるに至った事態」も発動対象としています。これは、米国がアジア太平洋地域で軍事行動をおこした場合の「周辺事態」とうり二つ。そのことは、政府・与党幹部も認めざるをえなくなっています。中谷元防衛庁長官は「予測される事態」について「当然、周辺事態のケースは、この一つ」(4日、衆院安保委員会)と答弁しています。
つまり、米国が戦争を起こし、自衛隊が「後方支援」する段階で、相手国から日本への武力攻撃が「予測される」として、有事立法が発動されうるのです。政府資料では、武力攻撃が予測される事態について、武力攻撃の「意図が推測され」、「発生する可能性が高い」と判断されればいいとしています。「日本を攻撃するぞ」という意図を明確に示していなくても、意図が「推測」されるだけで発動できるのです。有事法制が、米国の戦争に日本国民を動員するものであるということを裏付けています。
首相に「非常大権」 - 実施前国会承認不要
「武力攻撃事態」の認定を含めた対処基本方針は、首相が安全保障会議の答申を受けて閣議決定する仕組み。また、首相は、有事対処を、地方自治体や指定公共機関に対し、「指示」したり、それに従わなければ強制執行ができるとしています。しかも、この「指示」や強制執行を首相に求めるのは「対策本部長」である首相自身。まさに自作自演でなんでもおこなえる独裁的権限です。首相の権限で動員される「指定公共機関」は、「独立行政法人、日本銀行、日本赤十字社、日本放送協会その他の公共的機関及び電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、政令で定めるもの」と定義。国民の暮らしにもかかわる全分野の動員をねらっています。
一方、国会の関与はどうか。包括法案では、対処基本方針について「閣議決定後、直ちに国会に承認を求めなければならない」としながらも、緊急を要する場合は、「実施前に…国会承認を得ることは必要としない」とするなど、事実上の事後承認に。国会のチェックは働きません。
「自由と権利」全面的に制限 – 戦争に反対すれば「犯罪者」に!
法案では、すべての国民に戦争協力の義務のあることが、はっきりと明記されています。とりわけ、保有している土地、家屋等を差し出すこと、自衛隊が使う物資を保管し、提出すること、医療・輸送・建築・土木などの従事者が協力すべきことは、欠かすことのできない義務とされています。
武力攻撃事態法案では、基本理念のなかで、「日本国憲法の保障する国民の自由と権利…に制限が加えられる場合」があることを明記。民間人に対しても業務従事命令や物資保管命令などの強制措置のほか、戦時における国民の統制に対応する包括的な規定を置いています。自衛隊法改悪案では、「物資保管命令」違反者に「6月以下の懲役または30万円以下の罰金」。物資を「隠匿」「毀棄(きき)」「搬出」した場合や、土地の強制使用などのための立ち入り検査を拒んだり、妨げたりしただけでも、「20万円以下の罰金」を科すとしています。
これは、戦争への非協力、反戦平和の立場にたつことを国家が犯罪だとみなすということです。戦争協力が国民の義務であり、非協力は犯罪だ、これが法案の精神なのです。こんな法律が、戦争放棄と基本的人権の不可侵を定めた日本国憲法の下で許されるはずがありません。
東播支部ニュース第3号 2002年4月23日付より
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