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教育基本法「改正」とこれからの闘い−私たちの教育基本法は葬り去られたのか−(神戸県立支部)

2007年02月27日


教育基本法「改正」とこれからの闘い
−私たちの教育基本法は葬り去られたのか−

教育「偽」本法は許さない! 憲法に基づく学習を

講演中の植田健夫氏

 2月25日、私学会館にて植田健男氏(名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授、写真)をお招きし上記の講演がありました。昨年、ほとんどマスコミに紹介されないなか、まさに「草の根」の大衆運動として広がった「教育基本法『改正』反対」の動きは、強行採決という“数の暴力”の前に潰されたかに思えましたが、そうではないということが、植田氏の講演より知らされました。以下に、講演の要旨を紹介します。

T 国民的教育運動としての「改正」反対運動

 多勢に無勢で法案は通ってしまったが、その理不尽さを国民の目の前にさらせたのだから、実質的には勝利といえるだろう。それまで教育基本法の存在すら知らなかった市民がこの大運動にまきこまれていった。教育基本法の大切さに気づき、身銭を切ってパンフレットを作成し、配布するといった滋賀県の人がいて、私の研究室にまで取材に来たほどだ。
 この10年の教育改革で、教育現場があまりにもひどい状況なのでいまさら教育基本法が変わってもたいした変化はないと多くの教職員があきらめていたが、終盤では大いに盛り上がった。また、基本法10条があったからこそ、東京地裁での東京君が代訴訟の勝利がある。
 最終盤の国会周辺のデモ、委員会や本会議の傍聴は改正反対議員を励まし、賛成議員には緊張を強いることになった。しかし、マスコミはこの国会周辺の状況を報道せず、雰囲気が国民に全く伝わらなかった。ならばと、教育基本法「改正」情報センターがネット上で配信した。日本弁護士連合会では50弁護士会と2弁護士連合会が何らかの形で、改正反対を表明している。日本教育法学会でもいち早く反対声明を発表している。教育基本法「改正」情報センターは民社党・社民党の議員に論点集を配布し、審議の充実を図った。
 苦しくなって、文科省は、学校が旧教育基本法のもとでいい加減なことをしているかの印象を与えるため、いじめや未履修問題をこの時期にマスコミにリークした。

U 満身創痍の教育基本法「改正」−立法の経緯を振り返る−

 法案作成は非公開の与党協議会で行い、民意の集約であるはずのタウンミーティングではご承知の様に偽装工作を行った。偽装タウンミーティングの費用は損害賠償請求の対象になる。民意の無視が発覚すると伊吹文科相は、国会議員が判断して国会で決めるのだから何の問題もないと強弁した。
 皮肉なことに、こうしてこの教育基本法の国民的大学習運動が基本法の高邁な精神を普及させた。

V 懸念される「教育改革」

 高度経済成長は終身雇用と完全雇用の二つの慣行により成し遂げられた。しかし、物作りを海外へと移転している今では、高度経済成長はむりであると判断。30%のエリート、高度専門技術者が70%の柔軟活用型人材を利用する社会を作ろうとしている。教育改革の本質はここにある。公教育のスリム化とは教員数を削減等でスリム化した予算を、30%のエリート養成に重点的に配分することである。
 教育改革を簡単に進めるために、単に首相の私的諮問機関にすぎない「教育再生会議」の提言をそのまま閣議決定する方法をとっている。議論をさせない方式だ。

W 「新教育基本法」の法的性格−二つの教育基本法の違い−

 「旧基本法」は準憲法的性格を持っているが、「新基本法」はその性格を持っていない。もちろん、準憲法的性格を持たせたかったのであろうが、衆参両院とも強行採決ではもてるはずもない。私たちは、つい、旧基本法の準憲法的性格を知っているために、新基本法も同様と勘違いしてしまうが、平成になってからできた基本法と名の付く20ほどの一般法のひとつにすぎない。また、国会論戦の中でも伊吹文科相は「私の目の黒いうちは、旧基本法と何らかわるものではない」といっている。これを忘れて、文言通り解釈してはいけない。
 最大の弱点は、現憲法との不整合である。

X 私たちのこれからの闘い

教育「偽」本法は許さない! 憲法に基づく学習を

 憲法、教育基本法に基づく学校作りと「新基本法」の改正である。そのためには歴史的な「教育裁判」の提起である。そうすれば、憲法との不整合が明らかになる。また、マスコミ対策である。私たちの集会を報道しないのであれば、新聞社の前で集会を開くのも、方法かもしれない(冗談?)。教育基本法の改正をめざす教育基本法改正情報センターのURL(http://www.stop-ner.jp/)を多くの人に知らせてほしい。   (なお、講演を要約し説明したもので、文責は講演者ではありません。)

2006県高支部ニュースNo38より


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