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子どもを「軍隊」に送るしかない街づくりのための教育「改革」と格差社会 講演 「改正」教育基本法と新自由主義教育改革の行方(神戸県立支部)

2007年03月06日


子どもを「軍隊」に送るしかない街づくりのための
教育「改革」と格差社会

講演 「改正」教育基本法と新自由主義教育改革の行方

 3月4日,西宮市勤労会館にて,世取山(よとりやま)洋介氏(新潟大学助教授、*DCI日本支部事務局長、写真)による講演がありました。教育基本法改悪後の教育「改革」のなかで,教育現場、家庭、地域ではどういったことが大切なのかとの内容でした。以下に講演の要旨を紹介します。
世取山洋介氏 (なお、講演を要約し説明したもので、文責は講演者にはありません。)

  *Defence for Children Internationalの略で、「子ども」の権利を「保障」することを目的として「世界規模」の運動をしている市民団体です。


「愛国心」教育より格差社会が「戦争できる」国づくりを進める

 昨年の教育基本法「改正」論議のなかで,「愛国心」が問題視されていた。「愛国心」が教育され,憲法9条が変えられ,徴兵制が導入されるのでは・・・の議論があった。しかし,現在の先進国等で徴兵制があるのは韓国だけで,他は全て「志願制」。
 2004年「デトロイト・デイリー・ニュース」の投書欄にこんなものがあった。

  デトロイトの高校を卒業しても仕事はない。ギャングになるか軍隊にはいるしかない。
  この国は他国を「侵攻」しなければ,教育は良くできないのか?

 デトロイトは,自動車産業で有名な街として知られるが,すでに市内の工場はなく,約100万人市民のうち80%は年収300万円以下。ここを抜け出すには,軍隊に志願するしかない。一方,ここから車で30分走ったところには年収1500万円以上の人々が暮らす街がある。
 アメリカの格付け会社「STANDARD & Poor's」社はデトロイトのあるミシガン州の「統一テスト」の学校別学力検査をインターネット上でも見ることができるようにしている。学力の他に様々な指標(各校ごとの人種構成など)が列挙されているが,学力との相関関係は家の収入だけである。
 デトロイトから車で30分の街では,デトロイトの子どもの“痛み”はわからないし,“金持ち”は,政治的に力を持っていてかわらない。(全米の経済格差は)「軍隊に行く街」か「軍隊に行くことを考えない街」のどちらかをつくっている。

 したがって,教育基本法での「愛国心」の項目などは,“二次的”なもので,書いて無くても,職業がなければ軍隊へ行くしか無くなる。

「州統一テスト」の結果の良いところに優良企業が進出する

 80年代から日本でも企業が多国籍化し,安い税金(法人税)の国へ“逃げ”だしている。国はこれを防ぐために税を引き下げた。さらにすすんで地方自治体に“権限委譲”で税制を移そうとしているが,その時に企業は税が安いだけでなく,企業にとって“魅力的”な自治体に企業を移そうとするだろう。

 全米で「州統一テスト」が導入されはじめたのは南部の諸州から。産業が“空洞化”したところに,トヨタを誘致するため。州ごとで点数を競い合って,良いところ企業がいく。
しかし,学力テストは所得で決まるので,最初から競争の結果は決まっている。
 ブッシュ政権は「1人も落ちこぼれを出さない」を政策とし,教育予算の足りない州には「統一テスト」を日本で言う小1〜中3全てに受験させることを義務とするかわりに連邦予算を配分した。さらにこれまでなかった「学習指導要領」を作り「よくできる」用、「ふつう」用、「そうでない」用と三段階に分け,中3までは,「ふつう」用の水準を要求した。しかし高等学校では,レベルに達しない者は徹底的に排除(退学等)をして,その後の教育につかせないように“選別”した。
 ちなみに,日本は高校受験の段階、ボリビアでは12才で“選別”がされている。先日も保利 耕輔(ほり こうすけ)氏の国会での質問のなか「高校教育ってなんでしょうか?(このままで)いいのでしょうか?」に対して,伊吹文明文部科学大臣は「考え直すとき。大学受験教育と職業準備教育に」とさらに“選別”を進めるかの発言をしている。

新自由主義による教育「改革」に対置するのは・・・ミシガン州の例から

 ミシガン州で学力テスト2位の学校がデトロイト市内にある。「アトリスク」(最貧家庭やDVを受けている家庭の子ども)が90%以上いる学校である。
 ここでは教育の目標を「人格の全面的な発達」におき,「教師は集団的に活動する」のを原則に進められてきた。校長曰く,「子どもと同じく,教師にも学力が得意な人もいれば,道徳の得意な人もいるから・・・集団で得意なところをしていけばいいんだ。」また,「学力だけ向上させようとすると大変だけど,人格を進めると簡単に,(学力は)伸びる」と。
 放課後は,この子の親たちにPC教室を開き,学校で“恵まれている”子どもたちをうらやましく思わせないように貢献している。
 しかし,デトロイトで育ったこの子たちの将来は,今のところ,軍隊しかない。

にこにこ隊  学校教育は,地域経済とどう向き合っていくかが不可分で,地域の中での共同がどれだけ幅広いかが必要となる。巨大な「新自由主義」に対抗するには,教師、父母、地域とが結びつき,さらに何らかのバージョンアップして結びつかなければつぶされてしまう。


講演の前座として,ダンスの披露をしてくれた尼崎の「にこにこ隊」の子どもたち

2006県高支部ニュースNo39より


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